●ルートとタイムスケジュール
09:30 JR中央線・大月駅着
歩行開始
10:40 岩殿山頂上着
休憩
11:10 岩殿山出発
12:50 稚児落し着
昼食
13:30 下山開始
14:10 富士急都留中央バス乗車
歩行終了
14:15 大月駅着
●所要時間 4時間40分(=歩行3時間30分+休憩1時間10分)
大月駅の近くにいかめしく構える異様な岩山。
山頂からの富士山がすばらしいというので、一度は登ってみたいと思いながら、容易に人を寄せつけないオーラーを発している岩殿山。さすが、戦国時代に要塞堅固な城として名を馳せただけある。
前回は通常のルートとは逆からせめてみて、途中山道に迷ってさんざんな目にあった上、結局岩殿山まで辿り着けなかった。今回は、正攻法、岩殿山から稚児落しのコースをとった。
岩殿山は階段が整備されているし、木々も少ないので、山登りという感じはしない。大月市街を見下ろしながら、ひたすら段を上り、高度を上げていく。
山頂からの景色は評判通り。
ほぼ360度、山々が大月市を囲んでいる様が確認できる。平野が帯のように細くなって遠のいていく先には、山々を従えた富士山がひときわ高く空中に浮かんでいる。
雲が多く、壮麗にして高貴なお姿をなかなか見せてくれなかったが、待っていたら、一瞬、幻のように全容が垣間見られた。
富士山をかくまで貴くしているのは、どんなに近いところからでさえ、いつも必ず姿が見えるわけではないというところにある。
前に、富士山の裾野にある公営施設で研修をしたときのこと。前日の午後に宿舎に入ったとき、霧でまったく周囲の景色が見えなかった。翌朝、起きて窓の外を見たら、真ん前に完璧な富士山が視界に入りきらぬサイズで出現していた。
山頂は陽がよく当たりポカポカして気持ちいい。ここで昼食にしたいところだが、我慢我慢。
ここから稚児落しに向かう道がわかりにくい。表示が目立たず、最初は反対方向に歩いてしまった。
前回も感じたが、どうも稚児落しへの道標が不親切である。大月市はなんとなく稚児落しへの登山者・観光客の入山を抑えたいと考えているのではないか、と思ってしまう。(その気持ち、わからなくもない)
やっと道を見つけて、築坂峠を経て、鎧岩に。
ここの岩場は、手に汗握るスリルが味わえる。
手すりやロープや鎖などがちゃんと張り巡らされており、登るのには苦労しないよう整備されてはいるが、足下は切り立った崖である。気を抜いて足を滑らせると、岩壁からまっさかさまに転落する危険がある。
マジこわい。ここでのおふざけは禁物である。
鎧岩から延々と尾根を歩く。
片側(左手)は遮るもののすくない素晴らしい景色が続く。
いい加減に休憩がほしくなった頃に、一登りで、いきなり稚児落しの大絶壁が現れる。
面白いことに、稚児落しの大絶壁は、稚児落しに至るまでは視界に入らない。そして、稚児落しを離れるとすぐに視界から消えてしまう。稚児落しにいるときだけ、その驚くべき凄絶な景観が現れるのだ。
おそらく、大月市のどこかの平地からこの大絶壁が口を開けているのが見えるはずである。(大月駅周辺からは見えない。) 下から見たらどう見えるのか、いつか確認したいものである。
大月市に向かい西から南へ、垂直に切り立ったL字型の凄絶な岩壁。
上からのぞくのにも勇気がいる。
しかも、崖の突端には手すりも安全ロープも防護柵もない。足を滑らせたら、間違いなく一巻の終わりである。
ここなら飛び降り自殺も容易だろう。
「よく、こんなところが、こんな状態のままで、さらしてあるなあ~」
驚きとも感心ともつかない感嘆の念が上がる。
普通、転落防止のため、景色を妨げるいろいろな手すりだの、柵だの、安全ロープだの、警告板だのが、置かれてしまいそうなものである。それがいっさいないところが気持ちいい。
その意味でも、あまり小学生や中学生などに来てほしくない。
子供が来るようになったら、PTAが騒ぎ出し、この無防備な景観が瞬く間に工事現場みたいに殺風景になってしまうだろうから。
子供(稚児)は来ないで(落し)。
このまま知る人ぞ知る絶景のままであってほしいものだ。
●12月23日(金)晴れ
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