2003年ドイツ映画。

 のっけから主役の青年エイドリアン(ケン・デュラン)のイケメンぶりに惹きつけられる。
 金髪長身、白皙青眼、明るい顔つきをした好男子である。
 カメラもその美貌を引き立てるように最初から、車を運転するエイドリアンを正面からアップで捉え続ける。
「なんだ、この監督ゲイか?」
と思うほどであるが、あとになってこのアップ撮影の意味が分かってくる。小憎らしい演出である。

 雪で閉じこめられた村落で起こる殺人ミステリーという道具立てに、なんだかアガサ・クリスティの世界一のロングラン芝居『ねずみ取り』を連想する。登場人物達の動きといい、セリフといい、出ハケのタイミングといい、なんだか舞台劇っぽいなあと思うのであるが、これも果たしてはじめから計算し尽くされた演出であることが分かる。ますます小憎らしい。

 観る者は、途中まではエイドリアンと視点を共にし、役者志望のエイドリアンを不意に襲った災厄に同情し、彼を取り巻く登場人物達の謎めいた行動に、どんな恐ろしい陰謀が裏に潜んでいるのか想像を働かせることになる。
 しかし、種明かし以降は、今度は他の登場人物達の側に立って、エイドリアンの一挙手一投足をハラハラしながら見守ることになる。
 エイドリアンに仕掛けられた大がかりな罠の正体は何か?
 それは観てのお楽しみである。


 それにしても、ドイツ映画というのはこういう心理的サディズムが好きだなあ。
 普通こんな目にあったら精神壊れるよ。
 人間信じられなくなるよ。

 
 
評価:C+

A+ ・・・・・ めったにない傑作。映画好きで良かった。 
        「東京物語」「2001年宇宙の旅」   

A- ・・・・・ 傑作。劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
        「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」
        「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」
        「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」
        「スティング」「フライング・ハイ」
        「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」
        ヒッチコックの作品たち

B+ ・・・・・ 良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
        「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」
        「ギャラクシークエスト」「白いカラス」
        「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・・ 純粋に楽しめる。悪くは無い。
        「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」 
        「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」
        「ボーイズ・ドント・クライ」
        チャップリンの作品たち   

C+ ・・・・・ 退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
        「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」
        「アナコンダ」 

C- ・・・・・ もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
        「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・・ 駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
        「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・・ 見たのは一生の不覚。金返せ~!!