1991年日本映画。

 脚本は三谷幸喜。面白さは折り紙つきである。
 本来舞台劇だったものを手際よく映像化した中原監督の手腕が光る。

 陪審員に選ばれた年代も職業も性格もさまざまな市井の12名の、殺人事件の判決をめぐる打打発止のやりとりと時折かまされるボケと感情のぶつかり合いとに引き込まれているうちに、最終的には推理ドラマを見るかのようなカタルシスに持って行かれる。

 ただし、舞台劇なら自然に見えるであろう登場人物一人一人のキャラの強さが、映画だとちょっと不自然(オーバー)に感じる。
 これは舞台と映画の違いだろう。
 舞台はセリフで時間を埋めなければならない。パントマイムでもない限り、適切な「間」以外に無音をつくるのは危険である。観客が不審に思うか飽きてしまう。
 一方、映画は音が無くとも映像によって時間を満たすことができる。次々と変わってゆく場面を写し出すことによって物語を進めることができる。

 どうしても舞台のほうが饒舌にならざるをえない。
 だから、成功した舞台を脚本はそのままで映画に移植するのは賭けである。どうしても喋りすぎてしまうからだ。
 この映画が成功したのは、題材がそもそも登場人物達が喋らないわけにはいかない審議の場であるからだろう。



評価: B-

A+ ・・・・・ めったにない傑作。映画好きで良かった。 
        「東京物語」「2001年宇宙の旅」   

A- ・・・・・ 傑作。劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
        「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」
        「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」
        「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」
        「スティング」「フライング・ハイ」
        「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」
        ヒッチコックの作品たち

B+ ・・・・・ 良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
        「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」
        「ギャラクシークエスト」「白いカラス」
        「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・・ 純粋に楽しめる。悪くは無い。
        「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」 
        「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」
        「ボーイズ・ドント・クライ」
        チャップリンの作品たち   

C+ ・・・・・ 退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
        「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」
        「アナコンダ」 

C- ・・・・・ もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
        「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・・ 駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
        「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・・ 見たのは一生の不覚。金返せ~!!