2006年中国映画。
良くも悪くも中国、って感じの映画である。
豪華絢爛の王朝絵巻と感嘆する一方、虚仮脅しという気もする。
膨大な制作費と大量のエキストラを投入した歴史超大作と持ち上げたい一方、CGと人海戦術による張り子の虎という気もする。
中国2000年の伝統を宿す極彩色の映像美を讃えたい一方、単なる派手好き、見栄っ張りの金満主義という感じもする。
チャン・イーモウはこのあと2008年北京オリンピック開会式のディレクターを勤めたが、この映画はその練習台だったのではないかという感じがする。
物語もまた一見、陰謀と愛欲と権謀術数とが渦巻く戦国大河ドラマという趣ではあるけれど、その実は単なる家族喧嘩なのである。『スターウォーズ』が宇宙を舞台にした父と子のすったもんだでしかなかったのによく似ている。
一つの家族の愛憎劇に、何億という人民を引きずり込み、敵味方に分けて、その命を足下の微生物のように踏みしだく。人を人とも見ない権力者の有り様は、醜いものである。人を駒としか見ない演出家の有り様もまた同様に。
絶対的権力を持つ国王(チュウ・ユンファ)は、もっとも後継者にふさわしい息子の一人に言う。
「俺が与えないものを決して取ろうと思うな」
この言葉に反逆し重陽の日に反乱を企てた王子は、結局、国王の軍に囚われ、国王と王妃(父と母)の面前で自害する。
このセリフ、この結末から、「国王」が象徴しているのが中国共産党であることを読み取るのは難しくない。
中国共産党には逆らうな。
それがいかに「虚仮おどし」で「張り子の虎」で「金満主義」であろうとも。
チャン・イーモウは、オリンピック開幕式ディレクターの栄誉を前に日和ったのであろうか。
それともこれは彼なりの体制に対する風刺なのだろうか。
評価:C+
A+ ・・・・・ めったにない傑作。映画好きで良かった。
「東京物語」「2001年宇宙の旅」
A- ・・・・・ 傑作。劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」
「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」
「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」
「スティング」「フライング・ハイ」
「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」
B+ ・・・・・ 良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」
「ギャラクシークエスト」「白いカラス」
「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」
B- ・・・・・ 純粋に楽しめる。悪くは無い。
「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」
「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」
「ボーイズ・ドント・クライ」
C+ ・・・・・ 退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」
「アナコンダ」
C- ・・・・・ もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
「お葬式」「プラトーン」
D+ ・・・・・ 駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」
D- ・・・・・ 見たのは一生の不覚。金返せ~!!