2011年アメリカ。
物語前半のなんとも美しい田舎の風景シーン、てっきりCGだと思っていたのである。スピルバーグもついにここまで来たか・・・とちょっとがっかりしながら観ていた。
見終わったあとに撮影の模様を紹介した付録映像を見ると、イギリスでの屋外ロケなのであった。
CG技術の進歩の弊害の一つは、圧倒的に素晴らしい実写シーンですら、いや素晴らしければ素晴らしいほど、「どうせCGだろ」と思わせてしまうところにある。CGかそうでないかを見抜ける目があればいいのだろうが、もはやそれを観る者に期待するのは困難なレベルまでCG技術は達している。映画の始まりで「この映画はCGを使っていません」とでも但し書きしてもらえばいいのか。
CGだろうが実写だろうが、素晴らしいシーンは「素晴らしい」と素直に楽しめばいいのだろうけれど、どうも「CG=人工=ニセ物=手抜き」「実写=自然=本物=手間がかかっている」という固定観念から抜けられないでいるものだから、「CGだろ」と思った瞬間、映画そのものの価値を低く見てしまうのである。
実際「CGだろ」と勘違いするほど、美しすぎる映像、できすぎる映像が続く。
飽きさせないストーリーテーリングもキャラクターの魅力も申し分ない。スピルバーグはやっぱりジョン・フォードの正統な後継者である。
ある意味、この映画は、かつて映画に出演したすべての馬に対するオマージュなのだろう。フォードの馬、黒澤の馬、西部劇の馬、時代劇の馬、戦争映画の馬、牧場の馬、農耕馬、競走馬、少年少女の友としての馬・・・・。
スピルバーグは偉大である。
だが、大人の映画は撮れない。
どんなに重く暗く深いテーマを扱おうが、どんなに映画の中で人が殺されようが、子供に安心して観せられる。子供が面白がって観ることができる。
意図的なのか、そのようにしか撮れないのか。
たぶん、後者だろう。
スピルバーグは、マイケル・ジャクソン同様、ピーターパン(=永遠の子供)なのだと思う。
彼の映画はもう一つのディズニー映画である。
評価:C+
A+ ・・・・・ めったにない傑作。映画好きで良かった。
「東京物語」「2001年宇宙の旅」
A- ・・・・・ 傑作。劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」
「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」
「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」
「スティング」「フライング・ハイ」
「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」
B+ ・・・・・ 良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」
「ギャラクシークエスト」「白いカラス」
「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」
B- ・・・・・ 純粋に楽しめる。悪くは無い。
「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」
「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」
「ボーイズ・ドント・クライ」
C+ ・・・・・ 退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」
「アナコンダ」
C- ・・・・・ もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
「お葬式」「プラトーン」
D+ ・・・・・ 駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」
D- ・・・・・ 見たのは一生の不覚。金返せ~!!