長久保マンガ 永久保貴一のマンガは面白い。
 絵やコマ割りはそれほど上手くないが(特に最初の頃はひどかった)、代表作『カルラ舞う』に見られるように、綿密な調査と取材、着想の奇抜さ、国枝史郎の伝奇小説ばりの独特の忌まわしい雰囲気と幻想性、そして社会において虐げられてきた民への熱い共感から生まれる善悪の二元論を超越した哀しみの視点が読む者を惹きつける。
 もちろん、純粋に超能力対決を軸とするアクションとして読んでも楽しい。

 創作マンガの他にも、作者の身辺で次々と起こるスピリチュアルにして怪奇な事件を描くこの『怪異談』シリーズもまた面白い。
 永久保自身には霊能力は無いようだが、そういった人々を周囲に集める才能があるらしい。永久保の妻が幼少より霊体験に事欠かない人であり、生まれた娘も「栴檀は双葉より芳し」、生い先楽しみな(?)「不思議ちゃん」ぶりを発揮して、ネタの提供元として父親孝行している。
 こうした永久保サークルの中でやはり一番凄い人物と思われるのが、師匠Hさんである。二人はひょんなことから知り合い、酒の席を通して意気投合し、その後Hさんは永久保の霊的アドバイザーとしてマンガに登場し、様々な助言やレクチャーをする。子供の頃から怪異な現象を経験し、「気」の修行をしてきたHさんは、相当の『気』の読み手・使い手であるらしく、気によって酒の味を変えることなどお茶の子さいさいである。
 ある時などは、人気絶頂のさなか新宿四谷にある所属事務所のビルから飛び降りて命を絶ったアイドル歌手O・Yの除霊を永久保と一緒にしたりする。(それによると彼女は世間で言われているように大物男優との失恋の痛手で亡くなったのではなく、あまりの忙しさに精神的に参っていたということだ。)

 そんなHさんによる『気』の講座が今回も秀逸である。



●水子の霊なんていない。

 中絶した人って腰にコリのある人が多いんですよ。
 体にコリがある所は気の状態も悪くなってます。
 で、女の人の意識はコッてる腰にどうしたって向いてきます。
 その時「私が子供を中絶したから…」ってイメージを持ち腰に意識を集中すると不健康な気がどんどん腰まわりにたまります。
 この女の人の不健康な気で作られた子供を「水子の霊」と呼ぶ霊能者さん多いです。


●カウンセリングは相手の話を聞くだけでいい。

 自分の悩みを誰かに聞いてもらって全部吐き出す。話すことによって自分の悩みが整理され、悩みの原因が見えてくる。
 そこからなんです! 自分がこれから何をすればいいのか考えられるようになるのは・・・。
 カウンセリングで一番重要なのは、相談者が自分で解決策を考えられる心の状態にもっていくこと。


●人相について

 怒ってばかりいる人と笑ってばかりいる人じゃ、顔の使う筋肉が違う!
 どういう生き方をしてきたかで顔は変わってくるんです。脳みそをどう使ってるかでも変わります。


●意識を後頭部の首に近い所に集中すると自分を客観的に見やすい。

 自分を客観的に見られるようになると、自分の意識、脳のいたるところで起こる雑念、勝手に聞こえる声、考えぬいた思考・・・。その他もろもろ全部ひっくるめ、総体としての自分を意識できるようになってくる。


●パワースポットで得られるものは「ツキ」 

 パワースポットに行くだけじゃ運は開けない。運はそう簡単に変わらないですよ。
 大雑把に言うと運は人との出会いだな・・・。どういう人とつき合うことになるのか。仕事にしろ家庭を持つにしろ。
 開運につなげるなら(パワースポットに行ったあと←ソルティ補足)人に会うこと。特に初めて会う人に・・・。パワースポットのいい気をまとった状態で人に会えば、とても気持ちのいい人間に感じてもらえる。逆に悪い気を放っている人間とは縁がつながりづらい。
 第一印象の影響は長く続くよ~。

 て具合で含蓄のある言葉が並ぶ。

 Hさんによると、「幽霊」と呼ばれるものの大半は、生きている人々が作った「気の塊」だそうである。