2012年アメリカ映画。
人類の起源の謎に迫る、という煽り文句に惹かれ結構楽しみに観始めたのであるが、凡庸な結末でがっかりであった。これなら『フォース・カインド』(オラントゥンデ・オスサンミ監督、2009年)のほうが気が利いている。
人類がある目的のために「何者か」によって創られた、というテーマを題材とする作品に惹かれるのはなんでだろう?
人類の存在理由、換言すれば「生きる意味」について思考することの意味(の無さ)を自分に悟らせるからだろうか。
だから、崇高にして遠大な目的で人類が創られたとするストーリー(たとえば、宇宙が自分自身を見るために惑星と生物の進化の果てに人間を創造した)なんかより、人間の発する気を食料とする宇宙人がいて人間牧場として地球は存在している、というブラックジョーク的なストーリーのほうが自分は好きである。変に自分たち人類のみを高等生物として持ち上げるスピリチュアル的傲慢さに一矢報いたいという偏屈なところがある。
実際、人間は地球の主役でも勝者でもない。ごきぶりや細菌の方が長く広く地上に存在しているし、仮に人類を現在の地上の支配者と考えたとしても、生存年数で言えばかつての王者である恐竜の百分の一にも達していない。今、地球が滅びたとしたら、どこかの惑星の宇宙史研究家はこう記すだろう。
「この地球という惑星でもっとも勢力を奮った生物はウイルスと恐竜であった」
読んだばかりの『銀河ヒッチハイクガイド』も実は隠れたテーマとして地球創造の謎を扱っている。この謎の答えはあっと驚くような奇抜なもので、著者のセンスの高さは尋常でない。この本では地上の真の支配者も登場するが、その正体もあっけに取られる。天才性では、リドリー・スコットはダグラス・アダムズの足元に及ばない。
映画自体は凡庸でつまらないが、ロボット役のマイケル・ファスベンダーは見物である。『SHAME シェイム』を観たときは感じなかったが、この人、イアン・マクレガーに似ている。ともに巧い役者である。
最後まで観ると、これは人類の起源の謎というよりも「エイリアン」の誕生秘話だったのだということが分かる。
評価:D+
A+ ・・・・・ めったにない傑作。映画好きで良かった。
「東京物語」「2001年宇宙の旅」
A- ・・・・・ 傑作。劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」
「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」
「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」
「スティング」「フライング・ハイ」
「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」
B+ ・・・・・ 良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」
「ギャラクシークエスト」「白いカラス」
「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」
B- ・・・・・ 純粋に楽しめる。悪くは無い。
「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」
「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」「ボーイズ・ドント・クライ」
C+ ・・・・・ 退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」「アナコンダ」
C- ・・・・・ もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
「お葬式」「プラトーン」
D+ ・・・・・ 駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」
D- ・・・・・ 見たのは一生の不覚。金返せ~!!