●歩いた日  4月27日(土)
●天気     晴
●タイムスケジュール
 8:10 富士急行線「都留市駅」発・道坂隧道行バス乗車(富士急山梨バス)
道志二十六夜山 035 8:40 道坂隧道着
 8:50 歩行開始
 9:50 今倉山東峰
10:10 西峯(御座入山)
10:40 赤岩(松山)
11:50 二十六夜山頂上
      昼食休憩(40分)
12:30 下山開始      
14:20 芭蕉月待ちの湯
      歩行終了
15:54 富士急山梨バス乗車
16:25 富士急行線「都留市駅」
● 所要時間 5時間30分(歩行4時間15分+休憩1時間15分)
● 歩数   約22,800歩

 GW初日。晴天。案の定、早朝の下り列車は登山客でいっぱい。帰省客のラッシュはこれからか。
 どこも名の知れた山は混雑必至と思い、知られざる山をピックアップした。

 道志二十六夜山は、山梨県の最東端、神奈川県との境に位置する道志村にある。お隣の上野原市には秋山二十六夜山がある。このあたり一帯に月待ち信仰があった名残である。
 ちなみに道志村の面積は約80キロ平方、人口約1900人、人口密度は1キロ平方あたり約24人である。これは山梨県では4番目の「ゆとりあるまち」ということになる。(2010年国勢調査によると、日本で一番人口密度が小さいのは福島県檜枝岐村の1.6人、一番大きいのは東京都豊島区の21881.5人)

道志二十六夜山 001 都留市駅からのバスは山道をぐんぐん登ってきて道坂隧道を終点とする。
 今倉山は標高1470mの結構高い山であるが、バスが稼いでくれるので実際に歩く標高差は460mくらい。高尾山(標高差410m)とさほど変わりない。
 一緒にバスを降りたのは20名ほどか。団体客が多い。
 空は晴れているが風が強いので、立ち止まっていると寒くなる。
 隧道の脇から登山道に入る。

 同じ月待ち信仰があったせいだろうか、登山道の雰囲気は秋山二十六夜山とよく似ている。尾根まで続く急な直線の幅広い道。二十六夜のお祭りのために提灯やロウソクを手にした村人達が、列をなして山頂目指して登った姿が思い浮かぶ。秋山と異なるのは、背後に大きくわだかまる御正体山、そして高度を上げるに連れてその背後から徐々にせり出してくる、白いペンキを乱雑に塗りたくったような富士の頂き。

道志二十六夜山 002


道志二十六夜山 003


 今倉山の東峰まできっかり1時間。
 周囲は木立に囲まれている。まだ葉が生い茂っていないので木々の間から富士山はもとより、北側にひろがる山脈も垣間見える。あと少ししたら展望はなくなるだろう。
 山頂からは菜畑山、朝日山に向かう道もある。反対方向に10分ほど進み、西峯(御座入山)に到達。朽ちた標識もさびしい地味な山頂。ここで立ちションする。

 少し下りたところで前方の視界が開け、御正体山と杓子・鹿留山とにはさまれた富士山が大きく現れる。強い風が幸いし、抜群の展望だ。シャッターチャンスとばかり、デジカメを構えたけれど、本当のシャッターチャンスはまだこの先であった。

道志二十六夜山 004


道志二十六夜山 005


道志二十六夜山 006


 どこから見ても見間違いようのないお馴染み三つ峠を正面にして、しばらく下って登りきったところが赤岩である。
「すんばらすぃ~い!!」

 思わず叫ぶ。
 360度の「視界は良好、わたしは亮子」(って知っている人いるのか?)
 額に入れて浴室に飾りたいほど見事な富士山。
 南アルプス(聖岳、赤石岳、悪沢岳、仙丈岳、鳳凰三山、甲斐駒ヶ岳)、北アルプス、八ヶ岳、朝日岳、金峰山、妙義山、大菩薩嶺、東京で一番高い雲取山、筑波山、陣馬・景信の彼方にうっすらと見える都心とスカイツリー、下りてきた今倉山をはさんで、丹沢山塊、相模湾、箱根の山々(明神ガ岳、金時山)。これらを外周とする円の中に、形・大きさ・色さまざまな中央線沿線の山々を一望にできる。

道志二十六夜山 012

道志二十六夜山 016

道志二十六夜山 013

道志二十六夜山 012

道志二十六夜山 020

 赤岩からのすんばらすぃい展望は山座同定含め下記のサイトで見ることができる。感謝。
 http://www.kei-zu.com/main/akaiwa/akaiwa.html
 この光景をいったん生で見たら、山登りは到底止められるものでない。


 赤岩から林道をまたいで1時間ほどで道志二十六夜山に到達。
 ここも素晴らしい景色である。
 二十六夜碑をカメラにおさめて昼食とする。
 今日一日、後になり先になり一緒に歩いてきた人々が座して富士山を見ている。
 背後の中年男性グループは缶ビールを開けている。
 (山をなめちゃいかんぞ~)


道志二十六夜山 019


道志二十六夜山 025


道志二十六夜山 022


 下りは緑の多い気持ち良い道が続く。
 途中で仙人水という湧き水で顔を洗い水筒につめる。やわらかい水。

 下りきったところに沢がある。これもまた秋山二十六夜山と同じだが、あちらは荒れていて山が崩壊している感じであった。こちらは昔ながらの清浄な気が一帯に満ちていて、身も心も癒される。

道志二十六夜山 027


道志二十六夜山 029


道志二十六夜山 030


 山道から車道に出る。歩いて15分ほどのところに「芭蕉月待ちの湯」がある。
 アルカリ性単純温泉。源泉35.4度というぬるま湯に長々と浸かっていると体の感覚が無くなるかのような不思議な心地がしてくる。

道志二十六夜山 033


 松尾芭蕉がこの地に立ち寄って一句詠んだと言う。

  名月の 夜やさぞかしの 宝池山


 宝地山とはこの近くにある正蓮寺の山号だそうだ。
 新緑と小鳥の声に囲まれた露天風呂に浸かれば、芭蕉ならずとも一句詠みたくなる極楽気分。
 
 名月を 待たず楽しむ けふの山