琴平丘陵 033●歩いた日  11月18日(月)
●天気    晴れ
●タイムスケジュール
11:30 秩父鉄道・影森駅
      歩行開始
11:45 大渕寺(秩父札所27番)
12:08 護国観音
12:38 円融寺奥ノ院・岩井堂(札所26番)
13:48 ピーク(399m)
14:40 羊山公園
      昼食休憩(20分)
15:20 見晴台
15:40 西武秩父駅着
      歩行終了
●所要時間 4時間10分(歩行3時間15分+休憩55分)
●最大標高差 165m
●歩数   16,360歩


 昨日から体はだるく、起床は8時を回っていた。
 天気は上々。山登りの仕度もできている。
 さてどうしよう?
 「お前ももう若くない。無理せず体を休めなさい」と大人の声がする。
 「紅葉は今を逃したらもう見られない。明日は遅番だし、ちょっとくらい帰りが遅くなっても大丈夫」と若人の声がする。
 結局、若人が勝った。
 だが、「それなら歩行距離の短い、体力的にきつくない低山にしなさい」と大人が妥協した。

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 琴平丘陵は、秩父鉄道の影森駅と西武秩父駅とを結んで歩くことのできる最高地点399mの尾根である。琴平ハイキングコースとして道も整備されて、道標もしっかりしている。秩父札所の寺やシバザクラで有名な羊山公園、背後に聳える武甲山、眼下に広がる秩父市街などの光景を楽しみながら、ゆっくりと安全な山歩きができる。アップダウンもそれほどきつくない。「奥多摩むかし道」同様、家族連れや初心者が行くには恰好のコースと言えよう。
 
 影森駅を出て左に、昭和っぽい家々が立ち並ぶ道を進む。
 秩父鉄道の踏切を渡ったところで、世間話するおばあちゃん二人に「こんにちは」と声をかけられる。介護の仕事を始めてから老人親密度が高い。

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 秩父札所27番大渕寺(だいえんじ)は、境内にある寿命が33ヶ月延びるという延命水と、裏山に立つ高さ15メートルの護国観音が有名である。
 本尊の聖観世音については、行脚僧の宝明と弘法大師にまつわる伝承がある。
 お大師様、本当にどこ行っても奇跡を残している。

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 護国観音から見渡す秋の秩父は爽やかにして麗しい。

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 岩壁にはりつくように組み立てられた岩井堂は、山形の立石寺(山寺)を思い出させる枯淡の風情。回廊にはさまざまなお札や広告が雑然と置かれていたが、誰が置いたのであろうか、地獄を描いた絵が面白かった。

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 この丘陵を、かつては修験者たちが回峰修行したそうで、あちこちに名残がある。行者が座禅に使った岩は今では仏像が足を組んでいる。大岩の上に建つ修験堂は、そこから決死の覚悟で行者たちが岩下りをしたのだろう。今では堅牢な(味気ない)鉄製のはしごがついている。

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 秋の穏やかな陽射しに絢爛とかがやく紅葉は、枯れゆくいのちの絶唱である。
「来てよかったろう?」若人が問いかける。
「うん、まあな」大人が答える。
 削り取られた武甲山の無残な山肌ですら、紅葉をより美しく見せる借景のようだ。


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 339mのピークを踏破して下山する。
 背後に巨大な武甲山が見えてくると、羊山公園。その名の通り、羊たちが柵の中で草を食んでいる。人間が近づくと、軽快な足取りで突進してくるが、カメラを向けると顔を背け、離れてしまう。
「餌をくれるんじゃないのかよ。ただでは撮らせないぞ」
と言っているかのよう。

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 シバザクラの畑を手入れしている作業着姿の人たちを見ながら、おにぎりを食べる。
 春には賑わうことであろう。今は人もまばらである。(まあ月曜ってこともあるが)

 公園を抜けて、秩父市街を見下ろす見晴台に立つ。
 180度の展望。胸がすく。
 新しいデジカメのパノラマ撮影機能を使う。


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 帰りは横瀬駅で降りて徒歩10分の武甲温泉につかる。
 「気持ちよか~
 大人と若人が声を合わせる
 だるさはすっかり消えていた。

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