2012年イタリア映画。

 ベルトルッチといえば『ラストエンペラー』(1987年)の大監督。
 最盛期は70~80年代というイメージがあるが、73歳のいまも現役で頑張っている。
 ダニエル・シュミット、ヴィム・ヴェンダースと並び、自分(ソルティ)の青春時代を彩った好きな映画監督の一人なのである。
 だから、今になって勢いの落ちた手ぬるい駄作を見たくない、という意識が働く。
 だが、この映画(原題はIo e te「僕と君」)に限って言えば杞憂であった。
 「昔水準の傑作」と言うわけにはいかないが、ちゃんと「映画」に仕上がっている。観ていて、程よく幸福になれる安定した職人芸である。とりわけ、色彩感覚の見事さは健在。やっぱりイタリアーノ。
 中味は、少年のイニシエイション物語。
 孤独の好きなオタク風14歳のロレンツォが、腹違いの姉オリヴィアと地下室で秘密の一週間を過ごし、一皮剥けるという話。
 オリヴィアは美人で写真家でヘロイン中毒患者で破天荒で自堕落な生活をしている。人生の反面教師のような異性と出会って、ロレンツォが人生に開かれていくという逆説は、オーソドックスではある。が、二人を恋愛関係にしなかったところは好感が持てる。
 恋愛と初体験が人生への入り口としたら、まんま『青い体験』になっただろう。それはあまりにも時代錯誤である。
「生きて、愛して、自分を表現すること」
 老哲ベルトルッチから若者たちへのメッセージなのだろう。


評価:B-  

A+ ・・・・・ めったにない傑作。映画好きで良かった。 
        「東京物語」「2001年宇宙の旅」   

A- ・・・・・ 傑作。劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
        「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」
        「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」
        「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」
        「スティング」「フライング・ハイ」
        「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」     

B+ ・・・・・ 良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
        「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」
        「ギャラクシークエスト」「白いカラス」
        「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・・ 純粋に楽しめる。悪くは無い。
        「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」 
        「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」
        「ボーイズ・ドント・クライ」 

C+ ・・・・・ 退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
        「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」「アナコンダ」 

C- ・・・・・ もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
        「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・・ 駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
        「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・・ 見たのは一生の不覚。金返せ~!!