『嫌われ松子の一生』があまりに良かったので、中島監督の作品をさかのぼってみた。

 うん、うん、やっぱり凄い監督だ。
 天才と言っていいのではなかろうか。
 コメディセンスが抜群で、感動のツボを映画的に――セリフや表情ではなく映像そのもので――押さえる手腕もたいしたものである。よっぽどたくさんの新旧の映画を観ているのだろう。
 主演の深田恭子、土屋アンナはじめ、脇役陣(宮迫博之、阿部サダヲ、岡田義徳、荒川良々、樹木希林ほか)も端役に至るまで‘生き生きと’演技をしている。そうさせるだけの磁力を中島監督が現場で醸し出しているのだろう。

 女性の友情ものとしては群を抜いた出来である。
 というか、女性の友情を描いた映画ってあんまり記憶にない(『テルマ&ルイーズ』『Dot.ドット』くらい)ってことに、この映画を観て気づいた。
 自分が興味ないだけか・・・。

 だがこの映画は、単に女性の友情を描いたというよりも、他人とかかわることを拒んでいたオタクな人間が、まったくの「他者」の出現による衝撃とその強引な介入によって、心を次第に開いてゆく過程が、実に丁寧に描けている。コミカルで、漫画チックで、遊び感覚横溢の映像にもかかわらず、登場人物たちの感情の流れについては、丁寧に、自然に、説法臭くなく、追っている。その絶妙なバランス感覚が素晴らしい。

 人は常に自分を開いてくれる「他者」を待っているのだろう。
 同性だろうと異性だろうと。


評価:B+

A+ ・・・・・ めったにない傑作。映画好きで良かった。 
        「東京物語」「2001年宇宙の旅」   

A- ・・・・・ 傑作。劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
        「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」
        「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」
        「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」
        「スティング」「フライング・ハイ」
        「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」   

B+ ・・・・・ 良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
        「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」
        「ギャラクシークエスト」「白いカラス」
        「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・・ 純粋に楽しめる。悪くは無い。
        「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」 
        「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」
        「ボーイズ・ドント・クライ」 

C+ ・・・・・ 退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
        「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」「アナコンダ」 

C- ・・・・・ もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
        「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・・ 駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
        「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・・ 見たのは一生の不覚。金返せ~!!