日時 10月4日(日)
会場 ミューザ川崎シンフォニーホール
演目 ワーグナー:歌劇『リエンツィ』序曲
    ベートーヴェン:交響曲第九番合唱付
    シベリウス:交響詩『フィンランディア』
指揮 曽我大介
演奏 リベラルアンサンブルオーケストラ
合唱 一音入魂合唱団
 
リベラルアンサンブルおーけすとら

 知人に誘われて、やや早めの第九を川崎まで聴きに行った。
 ミューザ川崎はJR川崎駅のすぐ隣にある新しい立派なビルディング。
 川崎といったら、工場、風俗店(堀之内)、浮浪者といったイメージを長らく持っていたが、10数年ぶりに訪れた川崎は――少なくとも駅周辺は――あまりに明るく、あまりに綺麗で、あまりにゴージャスで、浦島太郎のごとく驚いてしまった。
 その象徴がまさにミューザ川崎。
 いつから川崎は音楽都市になったのだろうかと目を疑うような素晴らしいホール(1997席)と魅力的なラインナップを誇っている。
 
ミューザ川崎
 
 演奏のリベラルアンサンブルオーケストラは、2014年4月に設立したばかりの立教大学交響楽団の卒業生を中心とするアマチュアオーケストラ。
 いったい、この巨大なホールをサマになるくらいに人で埋めることができるのだろうかという懸念をよそに、開演前のホールを見渡してみたら、ほぼ満席に近かった。楽団員や合唱団員の知り合いが多いとは思うが、動員力はたいしたものである。
 演奏は・・・・・。
 実はアマチュアオーケストラの第九を聴くのは初めてだったので、それほど期待してはいなかった。
 が、実に良かったのである。
 何より若い!
 楽団員の平均年齢は30歳そこらではないだろうか。
 その若さが稚拙さにつながらず、音の瑞々しさ、迫力、疾走感につながっている。
 こんなに若々しいエネルギーに満ちた第九を聴いたのは初めてである。
 まるで若鮎の泳ぐかのよう。
 
 それを可能にした立役者は、やはり指揮の曽我大介ではないかと思う。
 こちらも初めて聴く(見る)指揮者であった。
 ウィキによればちょうど50歳ということだが、姿かたちも動きも颯爽として若々しい。
 なにより指揮台での振る舞いのカッコイイこと!
 体全体の表情豊かで、動きも大きくメリハリあって、が~まるちょば(GAMARJOBAT)のパントマイムでも見ているかのようで、思わず見とれてしまう。第4楽章で合唱団に高い音を要求する際の天を指す仕草など、十戒を預言するモーゼもかくやの迫力であった。
 この曽我大介の至極分かりやすい、気合いと霊感あふれるタクトを得て、柔軟性に富む若い団員たちが何の‘我’もなくひたすら演奏したことが、成功の秘密ではないだろうか。
 なんだか聴いたあとに若返ったような気がした。
 
 今日我々が聴いたのは、「青春の喜びの歌」だったのである。