2013年。

 吉田修一の同名小説を原作とするミステリー風人間ドラマ。
 十代の時に起きた集団レイプ事件の被害女性(真木よう子)と加害男性(大西信満)とが、十数年後に再会し、憎しみと償いの強い感情に結ばれて、「幸福になるためでなく不幸でいるために」同棲を始める。そこに、二人の隣りに住む女が自らの幼い子供を殺害するという事件が持ち上がり、田舎町にマスコミが押しかけ、二人の関係に微妙な変化をもたらしていく。
 
 見所は、主演の真木よう子の演技に尽きる。この作品で、第37回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞はじめ数々の演技賞を受賞している。
 昨年くらいまでよく列車内に流れていたtoto(サッカーくじ)のCMの‘冷感症の女’風の演技が印象的で気になっていたのだが、作品を観るのははじめてである。
 と思っていたら、2006年公開の西川美和監督『ゆれる』に出演していた。
 『ゆれる』は観た記憶があるのだが、作品内容も真木よう子も印象に残っていない。
 なんでかなあ?
 
 演技は確かに上手い。役の雰囲気作りも抜群である。
 加えて、スクリーン映えする姿かたちを持っているのが彼女の何よりの武器だろう。なんというか西欧風の匂いのする女優さんである。シャーロット・ランプリングのように、大人の演技ができる、大人の作品で真価を発揮する女優なのではないか。
 映画のラストで彼女が歌う主題歌が流れる。これがまた滅法味がある。むろん、プロ歌手のように上手ではないけれど、透き通った美しい声でシャンソンのような説得力ある歌唱を披露している。
 いま最も注目すべき女優であるのは間違いない。
 彼女の代表作はこれから先に現れるだろう。
 『さよなら渓谷』も、totoのCMも、彼女にはいささか幼すぎる。
 


評価:B-


A+ ・・・・めったにない傑作。映画好きで良かった。 

「東京物語」「2001年宇宙の旅」「馬鹿宣言」「近松物語」

A- ・・・・傑作。できれば劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」「スティング」「フライング・ハイ」「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」   

B+ ・・・・良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」「ギャラクシークエスト」「白いカラス」「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・純粋に楽しめる。悪くは無い。
「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」「ボーイズ・ドント・クライ」

C+ ・・・・退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」「アナコンダ」 

C- ・・・・もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・見たのは一生の不覚。金返せ~!!