日時 2016年8月13日(土)
会場 神楽坂セッションハウス2Fギャラリー(東京都新宿区)
主催 Tsubomi(蕾)/一般社団法人Colabo
購読している『福祉新聞』の案内広告を見て、「なにか感じるものがあって」出かけた。
主催のColabo(コラボ)は「すべての少女に衣食住と関係性を。困っている少女が暴力や搾取に行きつかなくてよい社会に」を合言葉に、虐待や性暴力にあった女子を支える活動をしている。代表の仁藤夢乃(にとうゆめの)は、自身も高校時代に家庭や学校とのつながりを失い、月25日を渋谷で過ごしていたという。『難民高校生』や『女子高生の裏社会~「関係性の貧困」に生きる少女たち』という本を出している。
ちなみに、団体理事を務める奥田和志牧師は、本日8月15日をもって解散したSEALDs(シールズ、自由と民主主義のための学生緊急行動)の設立者である奥田愛基(おくだあき)の父親である。
セッションハウスは神楽坂駅矢来口から歩いて5分ほどの鉄筋コンクリートの建物。
2Fギャラリーに入ると、
「うわっ、混んでいる!」
100平米の空間に50名ほどの来場者がいて、熱心に展示物を見ていた。Yahooのニュースにも取り上げられていたから、興味を持った人が押しかけたのだろう。
主催の片割れであるTsubomi(蕾)は、Colaboとつながる10~20代の女子のグループ。
つまり、大人たちに「買われた」少女たち及び今や成人した‘サバイバーたち’である。
展示の中味は、彼女たちの体験談の手記(24名分)とカメラマンが彼女たちの視点で撮った(多くは街の)写真である。
つまり、大人たちに「買われた」少女たち及び今や成人した‘サバイバーたち’である。
展示の中味は、彼女たちの体験談の手記(24名分)とカメラマンが彼女たちの視点で撮った(多くは街の)写真である。
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どの手記を読んでも、悲惨にして凄絶なる生い立ちや子供時代に言葉を失う。
これが現実か。
これが平成の日本か。
これが戦後70年を経た、世界で最も平和で豊かで教育水準の高い国の内実か。
オリンピックなんかで浮かれている場合か。
オリンピックなんかやっている場合か。
SMAPの解散なんかどうだっていいじゃん。
苛立ちとともにそう思う。
すべての手記に共通して言えるのは、家庭崩壊、大人の無責任さ、少女たちの拠り所のなさ、大人の男たちのいやらしさ・卑劣さ・残忍さ、そして教育機関と福祉制度の役立たなさ――である。少女たちはまさに、コミュニティソーシャルワーカー勝部麗子が指摘している「人間関係の貧困、制度の狭間、見守りの狭間にあってSOSを出せない‘サイレント・プア’」である。しかも、‘大人の男’という羊の仮面をかぶった積極的な加害者が、彼女たちの周囲にあるいはネットを介して蠢いていて、どんどん事態を悪化させていくので、転落はとどまるところを知らない。地域にひとりの勝部麗子のいないことが、これほど悲惨な結果を生むのだ。
虐待、育児放棄、近親姦、レイプ、援助交際、売春強要、妊娠中絶、クスリ・・・・。
これらの出来事を、少女たちがあたりまえのように、あたりまえの日常の風景でもあるかのように淡々と書いていることに慄然とする。そういう現実を早いうちから見知ってしまい、そういう現実から逃れるすべを見失ってしまい、すべてをあきらめてしまったあげくの自己放棄、あるいは生きていくために残された最後の手段――それが売春なのである。
‘ウリ’は気軽に稼げるバイトでも、いまどきのファッションでも、快感つきの娯楽でも、大人になるための通過儀礼でもない。少女の顧客となる大人の男にとって都合のよい、そのような「おためごかし」を鵜呑みにしてはいけない。
断じて!
買った大人への怒りとかいうよりも、買われる前の背景があることを知ってほしい。家族や学校、施設で虐待されたり、ひどいことを言われたりしたことが繋がっている。そうでもしないと、生きられなかった。(20歳・高校生)――チラシ裏面より当事者の言葉
展示の中に、「大人に言われた嫌な言葉」という問いに対する当事者たちの寄せ書きがあった。
覚えているものを列挙する。
覚えているものを列挙する。
産まなきゃよかった。あなたの声も聞きたくないし、顔も見たくない。あなたから学力を抜いたら何が残るの?家事全部やっといて。肉便器犯されて嬉しいんだろう?心を開かないなら、ここはあなたの居場所じゃない。
ほんとうに、オリンピックなんてやってる場合か。
小池百合子さんよ。
安倍晋三さんよ。
小池百合子さんよ。
安倍晋三さんよ。