
日時 2016年11月12日(土)15:30~
会場 オリンパスホール八王子
演目
- J.シベリウス/「カレリア」組曲
- ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第1番ハ長調
- ドヴォルザーク/交響曲第9番「新世界より」ホ短調
指揮 増井信貴
ピアノ独奏 三輪郁
10年以上前に八王子市に住んでいた者にとって、JR八王子駅南口の開発ぶりには目を見張るものがある。当時、改札を出るほとんどの人は発展している北口に向かった。南口に向かうのはハローワークに行く失業者(ソルティ含む)のみに許された特権、という感じだった。
バブルから取り残されたさびれた田舎町のたたずまいが、今となっては懐かしい。
バブルから取り残されたさびれた田舎町のたたずまいが、今となっては懐かしい。


地上41階、高さ158メートル、中央線沿いの山々に登ったときに八王子駅の位置を速攻教えてくれるランドマークとなった「サザンスカイタワー八王子」は、公共施設や商業施設、住宅を収容した複合施設である。「オリンパスホール八王子」はこのビルの低層部にあって、2021の座席数を有する多摩地区最大のホールである。
このホールがほぼ満席となったのだから、首都大学東京管弦楽団の動員力はたいしたものである。(なんとなくクラシック音楽ファンが増加しているような気がする。フィギュアスケート人気の影響だろうか)
今回はなんと言っても、プロピアニスト三輪郁(みわいく)の技量の高さに尽きる。
運指などのテクニックはプロである以上完璧なのは当たり前であるが、音色(おんしょく)とタッチとそれらを背後で支える音楽的感性が飛びぬけている。プロフによると、代々音楽家の家系に生まれたという。‘血は争えない’ということだろうか。
その演奏は、上質の絹のような光沢となめらかさ、清冽な小川の喜ばしいせせらぎ、昼下がりの木漏れ日のきらめき、引っくり返した宝石箱の豪華絢爛、寄せては返す波に崩れゆく砂の城、百済観音のスレンダーにして女性らしい柔らかな物腰・・・・と、ソルティの貧しい表現力ではとうてい言い表せない。
正直、「このピアノ演奏だけをずっと聴いていたい」と思ったほどだ。
オケの学生たちもこの天恵のごとき幸福な共演から、多くのことを学んだことだろう。
いや、学ばなくては罰が当たる。
百済観音の・・・。
