日時 2017年6月17日(土)14:00~
会場 杉並公会堂大ホール
曲目
- ワーグナー : 「タンホイザー」序曲
- R.シュトラウス : 交響詩「ドン・ファン」作品20
- ベートーヴェン : 交響曲第3番 変ホ長調 作品55「英雄」
- アンコール ワーグナー:「ローエングリン」より エルザの大聖堂への行列
指揮 田久保裕一
今回のプログラムは3人の‘英雄的’な男が主人公である。性愛と聖愛の間を揺れ動いたタンホイザー、稀代の猟色家ドン・ファン(ドン・ジョヴァンニ)、皇帝ナポレオン。奇しくもドイツ人、スペイン人、フランス人と国籍も分かれている。
ナポレオンは間違いなく英雄の名にふさわしいけれど、前の二人はエッチ方面で活躍した伝説上の人物である。「千人切り」の男を称え上げる男根主義における「英雄」なんである。「英雄⇒色を好む」が倒置して、「色を好む⇒英雄」になったわけだ。
ナポレオンは間違いなく英雄の名にふさわしいけれど、前の二人はエッチ方面で活躍した伝説上の人物である。「千人切り」の男を称え上げる男根主義における「英雄」なんである。「英雄⇒色を好む」が倒置して、「色を好む⇒英雄」になったわけだ。
田久保裕一&OB交響楽団を聴くのは2回目。
前回のマーラー1番は非常に良かった。田久保がOBオケの長所を巧みに引き出しているなあと思った。今回聴いてその印象を強めた。とてもいいコンビである。OBオケは松岡究ともよく組んでいるが、個人的には田久保との共演のほうが精彩を放っていると感じる。響きがフレッシュで構造が繊細である。ミニチュアの精密模型のドイツのお城のような印象を受けた。
前回のマーラー1番は非常に良かった。田久保がOBオケの長所を巧みに引き出しているなあと思った。今回聴いてその印象を強めた。とてもいいコンビである。OBオケは松岡究ともよく組んでいるが、個人的には田久保との共演のほうが精彩を放っていると感じる。響きがフレッシュで構造が繊細である。ミニチュアの精密模型のドイツのお城のような印象を受けた。
3曲とも素晴らしかったが、あえて欲を言うなら、1曲目と2曲目にもそっと‘艶と毒’がほしい。どちらも性愛がテーマなので、人を惹きつけすべてを忘れさせる性の圧倒的な魔力と、人を狂わせ破滅させる性の恐ろしい毒と、つまり‘官能’がにじみ出ていると良かった。(‘官能’と言えば、ヴィスコンティの『夏の嵐』に尽きる)
もしかしたら、オケのメンバーがそういう方面は‘卒業’している人が多いから、そのぶん淡白になったのか?
いやいや、そんなはずはあるまい。
いやいや、そんなはずはあるまい。
次回演奏会(10/28)のプログラムは、「トリスタンとイゾルデ」とマーラー5番。今回以上に‘艶と毒’が要求されるラインナップである。指揮の太田弦とOBオケのコンビがどうアプローチするか楽しみである。