2015年アメリカ映画
上映時間100分


 シッチェス・カタロニア国際映画祭でグランプリに輝いたシチュエーションスリラー、あるいはミステリーサスペンス。
 監督のカリン・クサマは女性である。CGを多用せず、奇をてらわない落ち着いた演出による屋内ロケと役者たちの演技合戦をベースに、丁寧に作られている。演劇的な構成はそのまま舞台に乗っても面白いかもしれない。

 幼い息子の事故死で心に傷を負い離婚したウィル(=ローガン・マーシャル・グリーン)とイーデン(=タミー・ブランチャード)。イーデンはその後音信不通となる。
 2年後、ウィルの元に突然イーデンからディナーの招待状が届く。ウィルが現在の恋人と共にかつての我が家を訪れると、別人のように陽気になったイーデンと新しい恋人デビッドが歓迎してくれた。旧友たち(ゲイカップルを当たり前のように含めているのは女性監督ならではの‘大人らしさ’である)も集まって再会を喜びあうが、ウィルは次第にこの集まりに違和感を持ち始める。
 
 この映画のサスペンスの仕掛けは、ウィルが感じている違和感およびそこから来るゲストとして無作法な行為の数々が、子供を喪った男の解消されていないトラウマが引き起こす妄想のせいなのか、それとも本当にパーティーには何か不吉で禍々しい裏が隠されているのか、観る者には最後の最後まで分からないところにある。
 なのでここで結末は明かさないが、この仕掛けで最後まで引っ張っていく脚本の上手さと主要な役者たちの両義的(どっちにも取れる)演技の巧みさはなかなかのものである。
 特に、元妻イーデン役のタミー・ブランチャードの明るさの背後に透けて見える神経症的な演技と、役者名はわからないがカルト教団のグルを演じる男優の一見慈愛に満ちた引き込まれそうなカリスマ演技が印象に残る。




評価:C+


A+ ・・・・めったにない傑作。映画好きで良かった。 
「東京物語」「2001年宇宙の旅」「馬鹿宣言」「近松物語」

A- ・・・・傑作。できれば劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」「スティング」「フライング・ハイ」「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」   

B+ ・・・・良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」「ギャラクシークエスト」「白いカラス」「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・純粋に楽しめる。悪くは無い。
「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」「ボーイズ・ドント・クライ」

C+ ・・・・退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」「アナコンダ」 

C- ・・・・もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・見たのは一生の不覚。金返せ~!!