日時 2017年12月27日(水)13:00~
会場 スタジオフォー(庚申塚そば)
演者&演目
演者&演目
① 古今亭駒次 : 旅姿宇喜世駅弁(新作落語)
「水戸黄門」仕立ての駅弁利権争奪ストーリーといった話で、パロディともパスティーシュとも言い難いユニークさは、やはり鉄チャンならではの至高の鉄道愛にある。助さん格さんらと共に全国行脚したご老公は、18切符の代わりに葵の御紋の印籠を持ち歩いていたと思えば、鉄道ネタには最強のラスボス的キャラクターであろう。もっとも、実際の水戸光圀は『大日本史』の編纂で忙しくてほとんど旅などしなかったというが・・・。
ストーリーやギャグは面白いのだが、ウケはいま一つだった。駒次にいつもの“オタクならではの至福感”が感じられなかった。年末の度重なる高座で疲れていたのか。あるいは青年から脱しつつある駒次に‛大人の落ち着き’が備わってきたためかもしれない。芸風というか語りのタッチを軌道修正すべき頃合いなのかも・・・。それと、時々セリフの主がだれなのか分からなくなる時がある。人物の演じ分けに雑な部分がある。これは噺家としては看過できない欠点だろう。
鉄チャン仲間として応援しているので精進してほしい。
「水戸黄門」仕立ての駅弁利権争奪ストーリーといった話で、パロディともパスティーシュとも言い難いユニークさは、やはり鉄チャンならではの至高の鉄道愛にある。助さん格さんらと共に全国行脚したご老公は、18切符の代わりに葵の御紋の印籠を持ち歩いていたと思えば、鉄道ネタには最強のラスボス的キャラクターであろう。もっとも、実際の水戸光圀は『大日本史』の編纂で忙しくてほとんど旅などしなかったというが・・・。
ストーリーやギャグは面白いのだが、ウケはいま一つだった。駒次にいつもの“オタクならではの至福感”が感じられなかった。年末の度重なる高座で疲れていたのか。あるいは青年から脱しつつある駒次に‛大人の落ち着き’が備わってきたためかもしれない。芸風というか語りのタッチを軌道修正すべき頃合いなのかも・・・。それと、時々セリフの主がだれなのか分からなくなる時がある。人物の演じ分けに雑な部分がある。これは噺家としては看過できない欠点だろう。
鉄チャン仲間として応援しているので精進してほしい。
② 入舟亭辰之助 : 弥次郎
二つ目となって半年あまりとか。これから経験を積んで腕を磨いていくだろう。頑張れ!
二つ目となって半年あまりとか。これから経験を積んで腕を磨いていくだろう。頑張れ!
③ 春風亭昇也 : お見立て 琴柑編
この人は2度目である。前回も客を即座に引き込む闊達な話しぶりに感心したが、やはり上手い。マクラで実家が魚屋とか言っていたが、威勢の良さ・客あしらいの上手さは血筋なのかもしれない。前回同様、マクラも面白かった。
今回は芸人としての才能を感じさせた。
『お見立て』は3人の人物が登場する古典落語である。吉原の人気花魁・喜瀬川、吉原の男性店員たる妓夫(ぎゆう)の喜助、そして喜瀬川に惚れている客の杢兵衛(もくべえ)である。話は、鈍臭くてしつこい杢兵衛にいい加減嫌気がさしている喜瀬川が、喜助を仲介にし、仮病を使って杢兵衛に会うのを断るところから始まる。
昇也は、この高嶺の花たる美女・喜瀬川を楽屋で次の出番を待つ宝井琴柑に変え、喜瀬川に疎まれ馬鹿にされ、客から笑われる道化役の杢兵衛をなんと同じ二つ目の桂宮治に変えたのである。
桂宮治は5月の巣ごもり寄席で聞いて、その破壊的なパフォーマンスとあき竹城並みのズーズー弁とに強いインパクトを受けた。確かに物真似するには恰好の対象である。昇也が見事に宮治を演じたので、花魁に疎まれる杢兵衛の鈍臭さとしつこさが宮治の色物キャラおよび鬼瓦のような風采と重なって道化効果が倍増した。実物の宮治を知らない人でもそれなりに楽しめたと思うが、宮治を知る人にしてみたら面白さ2倍である。こんな器用なパフォーマンスができるのは相当の才だろう。(ただし、出演料の1/3は宮治に渡すべきではないか)
この人は2度目である。前回も客を即座に引き込む闊達な話しぶりに感心したが、やはり上手い。マクラで実家が魚屋とか言っていたが、威勢の良さ・客あしらいの上手さは血筋なのかもしれない。前回同様、マクラも面白かった。
今回は芸人としての才能を感じさせた。
『お見立て』は3人の人物が登場する古典落語である。吉原の人気花魁・喜瀬川、吉原の男性店員たる妓夫(ぎゆう)の喜助、そして喜瀬川に惚れている客の杢兵衛(もくべえ)である。話は、鈍臭くてしつこい杢兵衛にいい加減嫌気がさしている喜瀬川が、喜助を仲介にし、仮病を使って杢兵衛に会うのを断るところから始まる。
昇也は、この高嶺の花たる美女・喜瀬川を楽屋で次の出番を待つ宝井琴柑に変え、喜瀬川に疎まれ馬鹿にされ、客から笑われる道化役の杢兵衛をなんと同じ二つ目の桂宮治に変えたのである。
桂宮治は5月の巣ごもり寄席で聞いて、その破壊的なパフォーマンスとあき竹城並みのズーズー弁とに強いインパクトを受けた。確かに物真似するには恰好の対象である。昇也が見事に宮治を演じたので、花魁に疎まれる杢兵衛の鈍臭さとしつこさが宮治の色物キャラおよび鬼瓦のような風采と重なって道化効果が倍増した。実物の宮治を知らない人でもそれなりに楽しめたと思うが、宮治を知る人にしてみたら面白さ2倍である。こんな器用なパフォーマンスができるのは相当の才だろう。(ただし、出演料の1/3は宮治に渡すべきではないか)
④ 宝井琴柑 : あんぱんを食べた次郎長(講談)
「たからいきんかん」と読む。横浜生まれ、山形大学人文学部卒、OLを経て2006年宝井琴星門下へ、と公式HPにある。
なにより美人である。桜色の着物がよく似合っている。これで10pointトクしている。客席のオジサンたちを一笑みで味方につけることができよう。
噺は「あんぱん」の考案者で木村屋創業者・木村安兵衛と、街道一の大親分・清水次郎長との係わりを講談にしたもの。
何でも、あんぱんが静岡に広まるきっかけを作ったのが清水次郎長だったとか。木村安兵衛が、次郎長と仲の良い山岡鉄舟の名を持ち出して、次郎長に静岡であんぱんを売るための協力を願い出たという。どこまで史実でどこから虚構かわからないが、次郎長が木村屋のあんぱんのファンだったのは本当らしい。「イーチラシドットコム 儲けを生み出すビジネス・コラム」というサイトに、このあたりの事情が掲載されている。興味ある方はご一読を。
それにしても清水次郎長が英語塾を開いていたというのは初耳であった。頭の堅い国粋主義者ではなかったのだなあ~。
「たからいきんかん」と読む。横浜生まれ、山形大学人文学部卒、OLを経て2006年宝井琴星門下へ、と公式HPにある。
なにより美人である。桜色の着物がよく似合っている。これで10pointトクしている。客席のオジサンたちを一笑みで味方につけることができよう。
噺は「あんぱん」の考案者で木村屋創業者・木村安兵衛と、街道一の大親分・清水次郎長との係わりを講談にしたもの。
何でも、あんぱんが静岡に広まるきっかけを作ったのが清水次郎長だったとか。木村安兵衛が、次郎長と仲の良い山岡鉄舟の名を持ち出して、次郎長に静岡であんぱんを売るための協力を願い出たという。どこまで史実でどこから虚構かわからないが、次郎長が木村屋のあんぱんのファンだったのは本当らしい。「イーチラシドットコム 儲けを生み出すビジネス・コラム」というサイトに、このあたりの事情が掲載されている。興味ある方はご一読を。
それにしても清水次郎長が英語塾を開いていたというのは初耳であった。頭の堅い国粋主義者ではなかったのだなあ~。
寄席の後は、とげぬき地蔵通りの定食屋「ときわ食堂」でランチ。ホカホカの銀シャリ、熱々のみそ汁、自家製の漬物が、冷えた体を芯から温めてくれる。ホンマモノのご馳走である。
ミックスフライ(エビとあじと串カツ)定食。ご飯のお代わりは一杯まで無料
地蔵通りをぶらぶら歩いていると、この町のまったりした空気と飾らない野暮ったさが妙に体に馴染み、安らぎすら覚えるようになっている自分に気づいた。仕事で日々高齢者と関わっているせいもあるのだろうが、自分自身もそういう領域に近づいてるんだな。