★★★★★ もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★ 面白い! お見事! 一食抜いても
★★★ 読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★ いい退屈しのぎになった
★ 読み損、観て損、聴き損
3月6日 本:『介護の現場がこじれる理由 フリーのケアマネが見た在宅介護の10年』(本間清文著、2011年、雲母書房)
・・・・・著者は東京中野で単独型の居宅介護支援事業所「介護支援所ファイト」を設立し、フリーの立場でケアマネジメントを実践してきた。現在、事業所は閉めたらしい。神戸新聞社から介護の世界に転身したという経歴が面白い。要介護当事者、家族、地域社会、市場原理、介護保険制度、保健・福祉・医療といった多角的な視点から見た日本の高齢者介護現場の弊害や矛盾や問題点を抉り出す。一つ一つが「もっともだ」と頷けることばかりであるが、一方、著者はもともと介護保険制度には反対だったらしい。そのあたりのルサンチマンが全編漂っている感がある。悪い点ばかりあげつらっているといった読後感。介護保険制度はもちろん欠陥が多いが、この制度がなかった場合を考えると、空恐ろしい。
★★★
3月8日 本:『世にも恐ろしい世界史の迷宮』(桐生操著、1999年、PHP研究所)
・・・・・世界史を彩る様々な不思議・諧謔・サスペンス・残虐などのエピソード集。皇帝ネロ、ルクレツィア・ボルジア、カリオストロ伯、トロイの宝、ナチスの財宝、フランス革命時に活躍した女装のスパイなど興味深い人物や事件が語られる。中でもアメリカの英雄リンドバーグの愛児誘拐殺人事件の真相を推察する一編が驚きだった。よもやリンドバーグ自身が犯人だったとは・・・! 本当かどうかは今となっては分からないけれど、かなりもっともらしい説ではある。
★★
3月8日 本:『悟りハンドブック』(ドルフィニスト篤著、2017年、ナチュラルスピリット)
・・・・・悟り体験を得たスピリチュアル・ヒーラーによる。ナチュスピらしく、まさに「非二元の悟り」である。自我や身体が「わたし」ではなく、自我も身体も他人も自然も世界も宇宙も、すべての現象をあらしめているもの(=プルシャ)こそが「わたし」の本性であるという。ゆえに「わたし」はそもそもの最初からすでに「それ」であり、「何もする必要がない」。この真実を実感するには、「自覚」が重要である。自覚とはいわゆる観察のことであろう。
★★
3月18日 本:『閉じ込められた僕』(藤元健二著、2017年、中央公論新社)
・・・・・副題は「難病ALSが教えてくれた生きる勇気』 著者は1963年東京生まれ。50歳の時にALSと診断され、2016年には胃がんも併発。支援者に恵まれ、気管切開し人工呼吸器をつける選択をするも、2017年3月に心筋梗塞で亡くなった。「生きたい」という本人の意志の強さは羨ましいような、不可思議なような・・・。生きたい意欲はあるのに奪われていく命もあれば、死にたいのに生き延びさせられる命もある。
★★★
3月21日 本:『誰もボクを見ていない』(山寺香著、2017年、ポプラ社)
・・・・・2014年に川口で起きた祖父母殺害事件の犯人である青年(当時17歳)の悲惨な成育歴を追いながら、少年犯罪の本質に切り込むノンフィクション。反社会性人格障害としか思えない母親との歪な関係。教育も福祉も親類縁者も世間もその地獄から少年を救うことができなかった。どんな事件でもそうなのかもしれないが、事件が起きて社会が問題に気づく以前には、予防策に社会資源を投入する必要性は感じられないものだ。青年はある意味、社会の「カナリア」的存在なのだろう。
★★★
3月23日 本:『キリスト意識 ある神秘研究家の自叙伝』(ノーマン・ポールセン著、1988年原著初版・2002年改訂版、邦訳2010年ナチュラルスピリット社)
・・・・・著者は1929年カリフォルニア生まれ。幼少の頃より数々の神秘体験を重ね、18歳で覚者パラマハンサ・ヨガナンダの修道院に入る。その後、遍歴を経て、自給自足の霊的共同体「サンバースト・サンクチュアリ」を創設する。2006年死去。宇宙の起源や人類の起源に関する著者の説は‘トンデモ’色の強いものであるが、スピリチュアルな人生を生きた男の自伝としては興味深く読める。750ページに及ぶ大著。
★★★
3月26日 本:『無戸籍の日本人』(井戸まさえ著、2015年発表、2018年集英社文庫)
・・・・・著者は無戸籍の子供の母親となった経験を持つ1965年生まれの元国会議員。自分の体験がきっかけとなって無戸籍の子供や成人の支援を行うようになる。いまとなっては理不尽極まりない民法772条の規定をはじめ、様々な理由から無戸籍のままでいる日本人は1万人くらいいると推定される。彼らはどんな思いをしてどんな生を送っているのか、なぜ無戸籍のままでいるのか、なにが就籍のための壁となっているのか。「家を守ること=国を守ること」と頑なに信じ、戦前の家制度に固執する保守派の救いようのない無慈悲に脱力する。政治家であることを超えて、ひとりの人間として弱者に向き合い共に歩き果敢に行動する井戸の姿に感嘆する。
★★★★
3月29日 本:『奇跡の四国遍路』(黛まどか著、2018年、中公新書)
・・・・・著者は1962年生まれの俳人。2017年の4月から6月にかけて四国遍路をした記録。お遍路はスタンプラリーでも速さや効率を競うレースでもなく、目的より過程の大切さに気付く旅なのだと思わせる一冊。★★★
3月30日 映画:『ライオン 25年目のただいま』(ガース・デイヴィス監督、2016年、アメリカ・オーストラリア・イギリス、119分)
・・・・・5歳の時に行方不明になってオーストラリアに養子に行ったインドの少年サルーの故郷と家族を探索する実話をもとにした物語。グーグルアースが役に立ったというのが現代的。少年時代のサル―(実名はシャル―だった)がとても可愛い。養母役ニコール・キッドマンはさすがの名演。
★★★
3月31日 映画:『メッセージ』(ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督、2016年、アメリカ、116分)
・・・・・世界中に現れた12の巨大なモノリス(宇宙船)。彼等の意図はなにか? 言語学者ルイーズは彼等との対話を試みる。『2001年宇宙の旅』+『未知との遭遇』+『幼年期の終わり』+『ドラえもん』みたいな作品。原題はARRIVAL
★★
★★★★ 面白い! お見事! 一食抜いても
★★★ 読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★ いい退屈しのぎになった
★ 読み損、観て損、聴き損
3月6日 本:『介護の現場がこじれる理由 フリーのケアマネが見た在宅介護の10年』(本間清文著、2011年、雲母書房)
・・・・・著者は東京中野で単独型の居宅介護支援事業所「介護支援所ファイト」を設立し、フリーの立場でケアマネジメントを実践してきた。現在、事業所は閉めたらしい。神戸新聞社から介護の世界に転身したという経歴が面白い。要介護当事者、家族、地域社会、市場原理、介護保険制度、保健・福祉・医療といった多角的な視点から見た日本の高齢者介護現場の弊害や矛盾や問題点を抉り出す。一つ一つが「もっともだ」と頷けることばかりであるが、一方、著者はもともと介護保険制度には反対だったらしい。そのあたりのルサンチマンが全編漂っている感がある。悪い点ばかりあげつらっているといった読後感。介護保険制度はもちろん欠陥が多いが、この制度がなかった場合を考えると、空恐ろしい。
★★★
3月8日 本:『世にも恐ろしい世界史の迷宮』(桐生操著、1999年、PHP研究所)
・・・・・世界史を彩る様々な不思議・諧謔・サスペンス・残虐などのエピソード集。皇帝ネロ、ルクレツィア・ボルジア、カリオストロ伯、トロイの宝、ナチスの財宝、フランス革命時に活躍した女装のスパイなど興味深い人物や事件が語られる。中でもアメリカの英雄リンドバーグの愛児誘拐殺人事件の真相を推察する一編が驚きだった。よもやリンドバーグ自身が犯人だったとは・・・! 本当かどうかは今となっては分からないけれど、かなりもっともらしい説ではある。
★★
3月8日 本:『悟りハンドブック』(ドルフィニスト篤著、2017年、ナチュラルスピリット)
・・・・・悟り体験を得たスピリチュアル・ヒーラーによる。ナチュスピらしく、まさに「非二元の悟り」である。自我や身体が「わたし」ではなく、自我も身体も他人も自然も世界も宇宙も、すべての現象をあらしめているもの(=プルシャ)こそが「わたし」の本性であるという。ゆえに「わたし」はそもそもの最初からすでに「それ」であり、「何もする必要がない」。この真実を実感するには、「自覚」が重要である。自覚とはいわゆる観察のことであろう。
★★
3月18日 本:『閉じ込められた僕』(藤元健二著、2017年、中央公論新社)
・・・・・副題は「難病ALSが教えてくれた生きる勇気』 著者は1963年東京生まれ。50歳の時にALSと診断され、2016年には胃がんも併発。支援者に恵まれ、気管切開し人工呼吸器をつける選択をするも、2017年3月に心筋梗塞で亡くなった。「生きたい」という本人の意志の強さは羨ましいような、不可思議なような・・・。生きたい意欲はあるのに奪われていく命もあれば、死にたいのに生き延びさせられる命もある。
★★★
人間には選択の自由がある
しかしそこには枕詞が必要だ。
人生において。
すなわち人が生きて生活していく場面においてだ。
生きて、生きていくことが何よりの必要条件である。
よって死を選ぶ権利はない。(本書より引用)
3月21日 本:『誰もボクを見ていない』(山寺香著、2017年、ポプラ社)
・・・・・2014年に川口で起きた祖父母殺害事件の犯人である青年(当時17歳)の悲惨な成育歴を追いながら、少年犯罪の本質に切り込むノンフィクション。反社会性人格障害としか思えない母親との歪な関係。教育も福祉も親類縁者も世間もその地獄から少年を救うことができなかった。どんな事件でもそうなのかもしれないが、事件が起きて社会が問題に気づく以前には、予防策に社会資源を投入する必要性は感じられないものだ。青年はある意味、社会の「カナリア」的存在なのだろう。
★★★
3月23日 本:『キリスト意識 ある神秘研究家の自叙伝』(ノーマン・ポールセン著、1988年原著初版・2002年改訂版、邦訳2010年ナチュラルスピリット社)
・・・・・著者は1929年カリフォルニア生まれ。幼少の頃より数々の神秘体験を重ね、18歳で覚者パラマハンサ・ヨガナンダの修道院に入る。その後、遍歴を経て、自給自足の霊的共同体「サンバースト・サンクチュアリ」を創設する。2006年死去。宇宙の起源や人類の起源に関する著者の説は‘トンデモ’色の強いものであるが、スピリチュアルな人生を生きた男の自伝としては興味深く読める。750ページに及ぶ大著。
★★★
3月26日 本:『無戸籍の日本人』(井戸まさえ著、2015年発表、2018年集英社文庫)
・・・・・著者は無戸籍の子供の母親となった経験を持つ1965年生まれの元国会議員。自分の体験がきっかけとなって無戸籍の子供や成人の支援を行うようになる。いまとなっては理不尽極まりない民法772条の規定をはじめ、様々な理由から無戸籍のままでいる日本人は1万人くらいいると推定される。彼らはどんな思いをしてどんな生を送っているのか、なぜ無戸籍のままでいるのか、なにが就籍のための壁となっているのか。「家を守ること=国を守ること」と頑なに信じ、戦前の家制度に固執する保守派の救いようのない無慈悲に脱力する。政治家であることを超えて、ひとりの人間として弱者に向き合い共に歩き果敢に行動する井戸の姿に感嘆する。
★★★★
3月29日 本:『奇跡の四国遍路』(黛まどか著、2018年、中公新書)
・・・・・著者は1962年生まれの俳人。2017年の4月から6月にかけて四国遍路をした記録。お遍路はスタンプラリーでも速さや効率を競うレースでもなく、目的より過程の大切さに気付く旅なのだと思わせる一冊。★★★
3月30日 映画:『ライオン 25年目のただいま』(ガース・デイヴィス監督、2016年、アメリカ・オーストラリア・イギリス、119分)
・・・・・5歳の時に行方不明になってオーストラリアに養子に行ったインドの少年サルーの故郷と家族を探索する実話をもとにした物語。グーグルアースが役に立ったというのが現代的。少年時代のサル―(実名はシャル―だった)がとても可愛い。養母役ニコール・キッドマンはさすがの名演。
★★★
3月31日 映画:『メッセージ』(ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督、2016年、アメリカ、116分)
・・・・・世界中に現れた12の巨大なモノリス(宇宙船)。彼等の意図はなにか? 言語学者ルイーズは彼等との対話を試みる。『2001年宇宙の旅』+『未知との遭遇』+『幼年期の終わり』+『ドラえもん』みたいな作品。原題はARRIVAL
★★