★★★★★ もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
★     読み損、観て損、聴き損


銭壷山合宿 037



8月2日 本:『虚無の信仰 西欧はなぜ仏教を怖れたか』(ロジェ=ポル・ドロワ著、1997年)
・・・・・西欧人は意外と自分のことが分かっていない?
★★★

8月4日 本:『エヴァの震える朝 15歳の少女が生き抜いたアウシュヴィッツ』(エヴァ・シュロス著、1988年)
・・・・・食べる物があることの有難さが深く沁みる。
★★★★

8月4日 映画:『ドイツ零年』(ロベルト・ロッセリーニ監督、1948年イタリア、78分)
・・・・・少年の演技が素晴らしい!
★★★

8月5日 トリンケン・フィルハーモニー管弦楽団第1回演奏会(指揮:岡田真、調布グリーン大ホール)
演目
ショパン/ピアノ協奏曲第2番へ短調 ピアノ:坂本里沙子
ブルックナー/交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」
・・・・・ブルックナーは初めて聴いた。ブラームスとワーグナーのどちらにもなりきれないといった印象。どの楽章も、どの主題も、同じように聞こえる。残念ながら真価がわからなかった。旗揚げ公演には、もっと有名で華やかな曲が良かったのでは・・・? 次回に期待したい。
★★

調布グリーンホール


8月8日 マンガ:『カルラ舞う! 聖徳太子の呪術編』(永久保貴一作画、2011年秋田書店)
・・・・・なんと50冊目の『カルラ』だと!(今はもっと増えているはず) もはや永久保のライフワークといった感もある。“気”という古くて新しいマジカルテーマ、日本史というネタの宝庫を突き当てたのが成功の一因だろう。今回は聖徳太子というので、『隠された十字架』的オカルト伝奇ドラマを期待して読んだ。面白かったが、聖徳太子の出番は少ない。これで太子を済ませてしまうのはもったいない。また、連載当初にあったような、たとえば差別され虐げられた者の報復とか家族関係トラウマといった、呪術合戦以外の人間ドラマ部分も希薄。そこが少年マンガ・少女マンガを超えた永久保ワールドの魅力なのだが・・・。
★★ 

8月10日 本:『ヴァンパイアハンター・リンカーン』(セス・グレアム=スミス著、2010年)
・・・・・人民の、人民による、人民のための吸血鬼狩り。
★★★

8月11日 劇団フライングステージ公演:『お茶と同情』(関根信一作・演出)
・・・・・下北沢offoff・シアターにて。母校に教育実習に行ったゲイの大学生と、彼の指導教官となる年輩のゲイの国語教師の、カミングアウトを巡る物語。原点回帰といった感すらするゲイの根源テーマである。時代設定は現代。LGBT権利運動を当たり前としカミングアウトにさほど抵抗ない若者が登場し、同性パートナーシップ制度、一橋大学のアウティング事件、自民党女性国会議員によるゲイ差別発言「生産性がない云々」など、ヴィヴィドな時事ネタも随所に仕込まれて、ウィットと毒と笑いの果てにホロリとさせる、FSらしい舞台であった。世代の異なる二人のゲイの身の処し方に、そして自己肯定感ある若者を目の前にした古い世代のゲイ(同性愛=「ホモ」だった時代を生きてきた)の哀歓に、時代の流れとLGBTをめぐる世の空気の変化をしみじみ思わざるを得なかった。なんたって客席に女性が多い。
★★★

8月12日 荒川区民オペラ :『イル・トロヴァトーレ』(ジュゼッペ・ヴェルディ作曲)
・・・・・尻上がりに調子が上がった舞台。
★★★

8月15日 本:『8・15と3・11 戦後史の死角』(笠井潔著、2012年NHK出版)
・・・・・平和を愛する人、必読!
★★★★

8月19日 映画:『終着駅』(ヴィットリオ・デ・シーカ監督、1953年イタリア・アメリカ、89分)
・・・・・モンゴメリー・クリフトの翳りある美貌
★★★

8月21日 本:『ごまかさない仏教』(佐々木閑、宮崎哲弥対談、2017年新潮社)
・・・・・図書館予約で実に4カ月以上待った
★★★

8月24日 本:『サマー・アポカリプス』(笠井潔著、1981年角川書店、1996年東京創元社)
・・・・・アポカリプスとは「黙示録」のこと。ヨハネ黙示録の一節通りに連続殺人が起こっていく、いわゆる「見立て殺人」もの。謎にあたる探偵は、禅的悟りを体現しているような不思議な青年・矢吹駆。異端カタリ派の聖地モンセギュールを舞台に、巨大原子力産業の社長一家に襲いかかる惨劇を描きつつ、基底音のように熾烈な宗教問答が進行しているという、まさにソルティの関心の束を直撃する小説であった。推理小説としては必ずしも成功しているとは言い難い――たとえば第一の殺人で現場の状況から見て一番蓋然性の高い殺人方法の推断を何故警察もワトスン役女子も無視するんだろう?――けれど、著者のオカルティックな資質と教養の高さ、思想の深み、そして類まれなる筆力で、古典の風格を放つ。明らかに読者を選ぶ本である。
★★★★

8月24日 映画:『靴みがき』(ヴィットリオ・デ・シーカ監督、1946年イタリア、90分)
・・・・・戦後イタリアの貧しい庶民の様相を描いた作品で、同監督の名作『自転車泥棒』(1948)に先立つ。ひょんなことから盗品売買の犯罪に巻き込まれた二人の靴みがきの少年が、警察に捕まり、拘置所での集団生活を送ることになる。二人の行き違いから事態は思わぬ方向に進んでいき、最悪の結末を迎える。『ドイツ零年』同様、敗戦国の過酷な世相の中で、道を踏み外して転落していく子供の姿がリアルに描かれる。少年たちの集団生活の様子に、イタリア人気質が伺えて面白い。少年たちは何かにつけよく泣くのだが、そんな弱さを仲間に見せたら、日本だったらイジメの対象になってしまうところだろう。VIVA  ITARIA !!
★★★

8月26日 本:『感情を出せない源氏の人びと』(大塚ひかり著、2000年毎日新聞社)
・・・・・平安時代の貴族と平成時代の日本人の類似が意味するものは?
★★★★

8月27日 本:『神国 日本への挑戦~アメリカ占領下の日本再教育と天皇制』(ロバート・O・バーロウ著、1945年原著、1990年三交社)
・・・・・戦勝国アメリカの文化史家による日本宗教史。
★★★

8月28日 映画:『ゲット・アウト』(ジョーダン・ピール監督、2017年アメリカ、103分)
・・・・・黒人青年クリス(=ダニエル・カルーヤ)は白人の恋人ローズの両親に顔見せするため、郊外の高級住宅地にあるローズの実家を訪れる。人種差別を受けるのではないかというクリスの不安は思い過ごしで、ローズ一家は暖かい笑顔でクリスを歓迎してくれた。が、徐々に彼は一家を取り巻く不気味な気配を感じ始める。
 なんとも形容しがたい奇妙な味わいの横溢するサスペンスミステリーである。逆ナンの怖さとシュールな映像表現、淡々とした語りはジョナサン・グレイザーの『アンダー・ザ・スキン』を想起させ、最後まで正体の分からない不気味な展開は、カリン・クサマの『インビテーション 不吉な招待状』を連想させる。とりわけ、ローズ一家の黒人の使用人ジョージナを演じるベティ・ガブリエルの演技が笑ってしまうほど怖い。怪演の域に達している。
 にしても『ヴァンパイアハンター・リンカーン』を読んだばかりで、この映画に当たるとは何の因果か? 
★★★★

8月29日 映画:『愛のむきだし』(園子温監督、2008年、237分)
・・・・・滅茶、面白い! ジェットコースターのようなスリルと興奮!
★★★★

8月30日 映画:『さよなら、ぼくのモンスター』(ステファン・ダン監督、2015年カナダ、90分)
・・・・・主役のコナー・ジェサップはイケメン!
★★★





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