施設介護の仕事に付き物のレクリエーション。
日勤シフトで入ると、午後のおやつ後の約1時間ほどを、ご利用者を食堂の一角に集めてレクリエーションしなければならない。
内容を考えるのも一苦労である。
毎回同じような内容だと、利用者も自分も飽きてしまう。
それに、レクの種類によっては参加できない利用者も出てくる。
たとえば、両腕とも麻痺している人はボールを使ったゲームや風船バレーはできない。
認知の強い人はクイズや脳トレなど頭を使うプログラムに参加できない。
最も多くの利用者が参加できて楽しめるものと言えば、やっぱり歌に尽きる。
童謡や懐かしのメロディーあたりが鉄板レクである。
なので、1時間のプログラムを組み立てる際は、20分ずつ3つに区切り、第1部はボールを使って体を動かし、第2部はクイズで頭を使い、第3部は合唱で気分よく締める、というふうに計画したりする。
これなら、おおむねすべての利用者がどこかで参加することができる。
3つのうちでは、クイズが工夫のしどころである。
難しすぎず、易しすぎず、頭の活性化にもなり、楽しめるクイズを、担当職員たちはいろいろ考えてくる。
ソルティがやったことのあるものを挙げると、
●仲間づくし系
都道府県名をすべて挙げてもらう。ほかにも、東京23区、山手線駅名、花や鳥や木の名前、世界の国名などでもできる。
●読み方当て系
魚偏のつくいろいろな漢字を板書して何と読むか当ててもらう。
木偏、けもの偏でもできるほか、変わった人名や地名、世界各国の漢字表記などでもできる。
●写真を使った系
歴史上の偉人や有名人の顔写真を見せて誰だか当ててもらう。
ほかにも、日本や世界の観光名所、昔の生活道具などでもできる。
準備が必要である。
●言葉遊び系
早口言葉、ことわざ、俳句、しりとり、各地の方言など。
ランダムに並べられた文字(例えば「も・し・こ・う・ろ・と」)をみて、意味のある言葉(正解は「と・う・も・ろ・こ・し」)にするといった、やや高度のゲームも好評。
●五感を使った系
虫(鳥や動物でも可)の鳴き声(関連サイトより)を聞いて何の虫か当てる。
目隠しして手渡された品物を当てる。介護の仕事6年余りで、ずいぶんとレパートリーが増えた。
今やインターネットとプリンターがあれば、いくらでもヴィジュアルで楽しいクイズが創れる。
ノートパソコンとプロジェクターがあれば、シーツをスクリーンにして映写もできる。
便利な世の中だ。
自分なりに考えて下調べして準備したレクが、上手くツボにはまって、利用者が楽しんでくれるのを見るのはうれしいものである。
「亀の甲より年の功」で、逆に利用者から教わることも多い。
認知の利用者の天然そのものの思いがけない回答に笑わされることもしばしば。
面白かったものを紹介したい。
1.ことわざクイズで
有名なことわざを途中まで読んで(犬も歩けば)、あとを続けてもらう(棒に当たる)単純なクイズ。
高齢者は実によくことわざを知っている。(逆に今の若い職員たちの知らないこと!)
時にはこんな楽しい間違いも・・・。
1 魚心あれば → 下心
2 二階から → ぼたもち
3 雀百まで → わしゃ九十九まで
4 目くそ → 鼻くそ、耳くそ
5 一富士 → 二太郎、三かぼちゃ
6 江戸の敵を → 東京でとる
正解)
1 水心
2 目薬 ※「棚からぼたもち」と混線
3 踊り忘れず ※「お前百まで、わしゃ九十九まで」と混線
4 耳くそを笑う
5 二鷹、三なすび ※「一姫、二太郎」と混線
6 長崎でとる ※距離的間隔が時間的間隔に変換。これはこれで意味が通るし面白い
2 昔の道具当てクイズで
下の写真は何でしょう?
レクに参加していた20名ほどの高齢者はいっせいに、
「七輪!」
と正解した。
ところが、ただ一人、Kさん(85歳女性)だけが違う言葉を叫んだ。
「かんてき!」
えっ、なにそれ???
感激?(そんなに懐かしかったの?)
官敵?(ソルティのこと?)
尋ねてみると、彼女は大阪出身で、関西では七輪のことを「かんてき」というのだと。
知らなかった。
そこにいた高齢者の中で、関西出身はKさん一人。
東北や四国や九州出身の人もいたが、みな「七輪」と答えた。
関西人だけが「かんてき」と言うらしい。
ちなみに、「かんてき」には「怒りっぽい人、癇癪もち」の意味もあるが、これはたぶん「すぐに熱くなる」からであろう。
大阪や神戸には何度も行っているし、知り合いもいるのに、はじめて知った。
(「神戸焼肉かんてき」というお店が都内にもあるらしいが、ソルティ、基本的にあえて外食してまで肉を食うことはしない)
Kさんが言うには、「でも、今じゃ、大阪の若い人もよう知らんな」
(「神戸焼肉かんてき」というお店が都内にもあるらしいが、ソルティ、基本的にあえて外食してまで肉を食うことはしない)
Kさんが言うには、「でも、今じゃ、大阪の若い人もよう知らんな」
1960年代頃までは、一般家庭に多く見られた器具ではあるが、高度成長期からの全国へのプロパンガス・都市ガス普及や、熱変換効率が高い電磁調理器の登場によって、家庭での実用目的での利用はほとんど見られなくなった。(ウィキペディア「七輪」より)