秩父札所巡り最終回は、実質的な山登りである。
秩父市と皆野町の境にある破風山(はっぷさん)を、前回のゴールとなった龍勢会館のある吉田町(秩父市)側から登り、破風山中の札立峠を経て、第34番水潜寺のある皆野町に下りる。
この山には8年前に別ルートで登ったことがあり、標高も高くないので、気持ち的には楽である。
この山には8年前に別ルートで登ったことがあり、標高も高くないので、気持ち的には楽である。
●挙行日 2018年9月14日(金)
●天気 曇り(最高気温24度)
●行程
08:10 西武秩父駅着
13番慈眼寺~秩父神社
09:12 秩父鉄道秩父駅より吉田元気村行き西武バス乗車
09:45 龍勢会館着
10:00 龍勢会館バス停
歩行開始
11:05 山道入口
11:35 札立峠
12:00 破風山頂上
昼食休憩(40分)
13:20 第34番・水潜寺着
結願
14:00 水潜寺発
14:20 秩父華厳の滝
14:50 沢辺バス停着
歩行終了
15:10 秩父温泉満願の湯
●天気 曇り(最高気温24度)
●行程
08:10 西武秩父駅着
13番慈眼寺~秩父神社
09:12 秩父鉄道秩父駅より吉田元気村行き西武バス乗車
09:45 龍勢会館着
10:00 龍勢会館バス停
歩行開始
11:05 山道入口
11:35 札立峠
12:00 破風山頂上
昼食休憩(40分)
13:20 第34番・水潜寺着
結願
14:00 水潜寺発
14:20 秩父華厳の滝
14:50 沢辺バス停着
歩行終了
15:10 秩父温泉満願の湯
●所要時間 4時間50分(歩行時間2時間50分+休憩時間2時間)
・・・休憩時間には各寺等での滞在時間を含む
●歩行距離 約12キロ(毎時約4キロ)
●最高標高 626.5m(破風山頂上)
・・・休憩時間には各寺等での滞在時間を含む
●歩行距離 約12キロ(毎時約4キロ)
●最高標高 626.5m(破風山頂上)
前回、33番菊水寺で打ち止めにしておいたのは我ながら賢明であった。
帰宅してから足のマメが痛み、翌日はまともに歩けなかった。
もし、あのまま山登りに突入していたら、マメに苦しんだ上に時間切れで御朱印もらえず――ってことになったかもしれない。
マメが悪化してその後数日間は治療を余儀なくされたかもしれない。
いやいや、それよりも山で足を滑らせて、大ケガしてたかもしれない。
というのも、33番から34番への巡礼道である山道は、市販のガイドブックに載っている破風山の一般ハイキングコースとは違うので、道が整備されてなく、道跡も定かならぬところが多々あり、森も荒れていて、そのうえ、このところの雨で地盤がゆるくなって崖道の路肩が崩れやすくなっていたのである。
日を改めて、頭も体も元気な状態で来たので、何事もなく、時間に追われることなく、いつものように山歩きを楽しみながら、無事結願することができた。
無理をしない――これがアラフィフの知恵である。
日を改めて、頭も体も元気な状態で来たので、何事もなく、時間に追われることなく、いつものように山歩きを楽しみながら、無事結願することができた。
無理をしない――これがアラフィフの知恵である。
前回同様、13番慈眼寺で経を上げて観音様の同行を願ったあと、すぐ近くの秩父鉄道・御花畑駅の駅舎隣りにあるスタンドでかき揚げ蕎麦を頼んだ。
この駅を使うたびに気になっていた店である。
かき揚げが分厚く、蕎麦も歯ごたえあって、美味しかった。
この駅を使うたびに気になっていた店である。
かき揚げが分厚く、蕎麦も歯ごたえあって、美味しかった。
これで360円はお得
線路沿いの道を歩き、札所15番少林寺を右手に見て、秩父神社に入る。
朝早い境内はすがすがしい。
礼拝して慈悲の瞑想をすると、身の内に澄んだ気が入った。
やっぱり格の高い神社は違う。
礼拝して慈悲の瞑想をすると、身の内に澄んだ気が入った。
やっぱり格の高い神社は違う。
秩父神社
そのまま秩父駅まで歩き、龍勢会館に向かうバスを待つ。
バス停付近では、出張で来たスーツ姿のリーマン達が、昨日泊まった宿の評定をしていた。
そう言えば今日は平日であった。
龍勢会館まで約30分。
バスは、秩父の市街地を抜けて、山辺を回って、吉田町へと向かって行く。
巡礼2日目に雨宿りしたファミリ-マ-ト、四国八十八ヶ所回廊のある16番西光寺の横を通り過ぎ、巨大な三角アーチが特徴的な秩父公園橋で荒川を渡る。
上流に目をやると、佐久間橋、朱色の巴川橋など遍路中に馴染みとなった橋たち、そのはるか先の山間には3日目にその雄姿を目の前に拝んだ浦山ダムの白い堤防が見える。
橋を渡って右折。
22番童子寺、21番観音寺、この足で歩いた道をあっという間に通過する。
それはまるで、ドラマの最終回でこれまでの名シーンを矢継ぎ早につなげて、視聴者に走馬灯的感動をもたらすベタな演出に似ている。
自分の歩いた距離をしみじみ実感する。
「これで自分もいっぱしの秩父通だな」
バスは、秩父の市街地を抜けて、山辺を回って、吉田町へと向かって行く。
巡礼2日目に雨宿りしたファミリ-マ-ト、四国八十八ヶ所回廊のある16番西光寺の横を通り過ぎ、巨大な三角アーチが特徴的な秩父公園橋で荒川を渡る。
上流に目をやると、佐久間橋、朱色の巴川橋など遍路中に馴染みとなった橋たち、そのはるか先の山間には3日目にその雄姿を目の前に拝んだ浦山ダムの白い堤防が見える。
橋を渡って右折。
22番童子寺、21番観音寺、この足で歩いた道をあっという間に通過する。
それはまるで、ドラマの最終回でこれまでの名シーンを矢継ぎ早につなげて、視聴者に走馬灯的感動をもたらすベタな演出に似ている。
自分の歩いた距離をしみじみ実感する。
「これで自分もいっぱしの秩父通だな」
龍勢会館バス停より徒歩開始。
しばらくはバスでやって来た道をそのまま戻る。
気持ちのいい里山を抜けると、国道37号に合流。
すぐ先の道標で左手の登り道に入る。
しばらくはバスでやって来た道をそのまま戻る。
気持ちのいい里山を抜けると、国道37号に合流。
すぐ先の道標で左手の登り道に入る。
馬頭尊
巡礼道らしからぬアスファルトの林道が続く。
やっと、それらしい雰囲気ある野良道に入ったかと思ったら、またしても林道。
ずいぶん奥の方まで民家がある。
漆喰塗りの掘立小屋のようなお堂
中には可愛らしい地蔵様
今度こそ間違いない。
山道の始まりだ。
最近では熊の間にも巡礼が流行っているとか。
そうそう、鈴をつけておこう。
山道の始まりだ。
最近では熊の間にも巡礼が流行っているとか。
そうそう、鈴をつけておこう。
山道入口
ここから札立峠および山頂までは山登りの名に恥じないものであった。
傾斜あるつづら折りの坂がずっと続き、最後は汗だくになり、肩で息をしていた。
調べてみると、山道入口から破風山頂まで、水平距離約800m、標高差約330m。
8m進むごとに3.3m上がる。
1m進みごとに0.41m上がる。
すなわち勾配41%。
これが40分弱続く。
ちなみに街中にある歩道橋の勾配は、踊り場を含めて41.7%に設計されているそうである。
歩道橋を40分上り続ける。
いかにきついものかお分かりいただけるだろうか。
札立峠に到着した喜びは、そのあとで山頂に立った時以上のものがあった。
彼岸花の群生
小休止したあと、一踏ん張りして頂上に向かう。
12時ちょうどに山頂に立つと、麓のあちこちの自治体から、正午を知らせる様々なメロディーが同時に鳴り響いてきて、おかしな重唱を奏でた。
メロディ統一すればいいのに・・・。
雲が多い。が、眼下に広がる秩父盆地の眺めは爽快であった。
12時ちょうどに山頂に立つと、麓のあちこちの自治体から、正午を知らせる様々なメロディーが同時に鳴り響いてきて、おかしな重唱を奏でた。
メロディ統一すればいいのに・・・。
雲が多い。が、眼下に広がる秩父盆地の眺めは爽快であった。
さして広くない山頂では、中年女性3人組が弁当を食べていた。
こちらの遍路姿に興味を持たれたか、いろいろ質問された。
「歩くと全部で何日くらいかかりますか?」
「6日かかりました」
「車で回るより歩いて回ったほうが、やっぱりいいですか?」
「いやあ、ご利益は同じだと思います」
こちらもおにぎりを食べながらのよもやま話。
安室奈美恵ラスト一年の追っかけをするために仕事を辞めた知人の話をしていたのが印象に残った。
こちらの遍路姿に興味を持たれたか、いろいろ質問された。
「歩くと全部で何日くらいかかりますか?」
「6日かかりました」
「車で回るより歩いて回ったほうが、やっぱりいいですか?」
「いやあ、ご利益は同じだと思います」
こちらもおにぎりを食べながらのよもやま話。
安室奈美恵ラスト一年の追っかけをするために仕事を辞めた知人の話をしていたのが印象に残った。
札立峠に戻って、道標に随い34番水潜寺へ最後の巡礼道を行く。
誰もいない森の中の沢沿いの道を下る。
杉の木がほうぼうで根こそぎ倒れている。
崖崩れで、道が砂利で塞がっている箇所がある。
なんとも無残な荒れようである。
ハイキングコースでないことが一目瞭然。
巡礼路を整え維持するのも金がかかるのである。
地域の人々の理解と支援あっての巡礼だと、最後の最後に教えられた。
誰もいない森の中の沢沿いの道を下る。
杉の木がほうぼうで根こそぎ倒れている。
崖崩れで、道が砂利で塞がっている箇所がある。
なんとも無残な荒れようである。
ハイキングコースでないことが一目瞭然。
巡礼路を整え維持するのも金がかかるのである。
地域の人々の理解と支援あっての巡礼だと、最後の最後に教えられた。
第34番・水潜寺
観音堂に至るアプローチは、秋海棠の咲き乱れる苔むした石段。
あたかも仏様に歓迎されているかのよう。
というのも、秋海棠は別名「瓔珞草(ようらくそう)」と言い、瓔珞とは「仏像の首飾り、胸飾りなどに用いられるアクセサリー」のことを指すのである。
秋海棠
瓔珞で飾られた仏像
ちなみに秋海棠の花言葉は「片思い」である。
ああ、肩重い。
リュックを下ろして最後のお勤めだ。
無明の闇に覆われて
身口意の三業によって犯してしまった過ちがあります
仏法僧に対する過ち
恩師に対する過ち
生きとし生けるものに対する過ち
これら一切の過ちを懺悔したします
また私が受けた他の人々の過ちも許しますこのように雑事を離れ
独り静かに
自らの心身を念をもって見つめる時
瞬間瞬間、変化生滅しつづける現象を
ヴィパッサナー(観察)によって洞察し
真の幸福を得て
解脱の道へ導かれますようにと
ここに誓願いたします
「懺悔誓願の文」
34番観音堂
使い終えた竹笠と輪袈裟を奉納する
水かけ地蔵
三度頭から水をかけると願いが叶う
三度頭から水をかけると願いが叶う
胎内巡りの岩屋
現在は立ち入り禁止になっている
現在は立ち入り禁止になっている
納経所で御朱印をいただく。
これでラストと思うと、感無量である。
このお寺はその名の示す通り湿気の多い所にあるので、木材が傷みやすく、お堂を維持するのも大変とのこと。
寄付を募る貼り紙があった。
現代ではどこのお寺も運営に苦慮していると聞く。
来る途中の杉の倒壊についてお坊様に伺ったら、
「もうずっと前からそう。巡礼道はハイキングコースじゃないからね。山林の持ち主がその気にならないとね」
巡礼が成り立つためには、そもそものお寺や遍路道がきちんと保たれてなければならない。
維持する側は大変だ。
ふと思いついて外部からやって来て、34ヵ所回って御朱印集めて、「バンザ~イ、満願だ!」と喜んでいればいいだけの側はお気楽である。
四国遍路は世界遺産登録を視野に入れていると聞く。
秩父遍路も素晴らしい道なのだから、なんとかこのまま残してほしいものである。
『この花』『ここさけ』に続く秩父アニメとして、秩父遍路する俳句クラブの若者をテーマにするのはどうだろう?
秩父は金子兜太(1919-2018)という俳人に縁がある。
「もうずっと前からそう。巡礼道はハイキングコースじゃないからね。山林の持ち主がその気にならないとね」
巡礼が成り立つためには、そもそものお寺や遍路道がきちんと保たれてなければならない。
維持する側は大変だ。
ふと思いついて外部からやって来て、34ヵ所回って御朱印集めて、「バンザ~イ、満願だ!」と喜んでいればいいだけの側はお気楽である。
四国遍路は世界遺産登録を視野に入れていると聞く。
秩父遍路も素晴らしい道なのだから、なんとかこのまま残してほしいものである。
『この花』『ここさけ』に続く秩父アニメとして、秩父遍路する俳句クラブの若者をテーマにするのはどうだろう?
秩父は金子兜太(1919-2018)という俳人に縁がある。
金子兜太は少年時代を秩父で過ごした
水潜寺は西国33番、坂東33番、秩父34番合わせた百観音のオーラスでもある
満願のあとは、寄りたいところがあった。
秩父華厳の滝である。
水潜寺から歩いて20分のところにある。
秩父華厳の滝である。
水潜寺から歩いて20分のところにある。
どういう基準で誰が選んだのか不明
流しそうめんのよう
確かに小さいけれど女性的な優美さを持った滝である
マイナスイオンいっぱい浴びてリフレッシュしたあとは、来た道を少し戻ったところにあるバス停で皆野駅行きのバスを待つ。
初秋の光に包まれて、破風山が父親のように「お前、よくやった!」と祝福してくれているような気がする。
途中下車し、その名も秩父温泉・満願の湯に浸かる。
ここの温泉のパワーは凄い。
単純硫黄泉なのだが、湯に入った途端、「ああ!」と腹の底から声が出る。
体の弱った部分に、ジンジンと痺れるように浸透し、内部から温める。
山登り後の温泉では、いつもなら湯の中で足を万遍なく揉みほぐすのがお約束なのだが、この温泉ではその必要がなかった。
湯が勝手に患部をマッサージしてくれる。
ソルティはあちこちの温泉に行っているほうだと思うが、間違いなく、秩父温泉満願の湯は関東の温泉の中で十指に入るミラクルパワーを有している。
四面の緑と渓谷に囲まれた環境もすこぶる癒し効果高い。
この温泉に入るためだけでも秩父に来てもいいと思えるくらいである。
おススメである。
前回破風山に登ったあともここを利用したけれど、やはり満願あとは格別のご褒美感。
もしかしたら、これまで秩父34ヵ所巡礼を満願した人たちの‘気’が、当地に溶け込んでいるがゆえのミラクルパワーなのかもしれない。
としたら、ソルティもその‘気’の充填にいささかなりとも貢献したわけである。
秩父温泉・満願の湯
皆野駅から御花畑まで戻り、西武秩父駅から帰路につく。
秩父の守護神・武甲山が、宵闇の中、やさしい表情で見送ってくれた。