88番大窪寺から徳島に戻った一番の理由は、7番十楽寺でウッカリもらい忘れたご朱印をいただくためである。
最後に打つべき札所が、遍路2日目にして決まってしまったのである。

これには何か意味があるのか?

2日目に泊まった宿は7番と8番の間にあり、そこは3番札所の金泉寺が運営していた。
支配人はお坊さんだった。
遍路開始したばかりのソルティは、このお坊さんとスピリチュアルトークをしたのであった。

7番を打ち忘れたことに気づいた時、
「あっ、あのお坊さんともう一度会えっ、てことなんだな」
と思った。

で、あれから63日後、塩江温泉から88番大窪寺を挟み、はるばる40㎞歩いて、再びその宿に泊まったのである。

お坊さんは、2ヶ月前にソルティと会ったことも話したことも忘れている様子だった。
無理もない。
毎日たくさんの宿泊客と会って話すのだし、ソルティも2ヶ月前とずいぶん外見が変わったはずだ。
7キロ痩せて、真っ黒に灼けて、スポーツ刈りになった。
友人が見てもすぐには分からないイケメンぶりかもしれない (≧∇≦)

着いた夜はさすがに疲れて、近くの温泉に入って、眠ってしまった。
翌朝、チェックアウト前に再びお話しする機会を得た。
トークの内容はさておき、真摯に仏法や悟りを追い求めて修業している人との会話は、刺激的であった。
そう、これが本来の四国遍路なのだった。
「人生に無駄なことは一つもない。世界に無駄なものは一つもない」
お坊さんのその言葉が印象に残った。


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これで納経帳が完成した。

7番を打ったからには、1番まで歩こう。
2ヶ月前の記憶をたどりながら、何に追われることなく、のんびり歩いた。
懐かしい風景に声を上げながら、期待と不安と好奇心とでいっぱいだった、初々しい自分を思い出すのは、そう悪いことではない。

1番霊山寺に到着。
ここの売店で、杖と笠と輪袈裟を揃えたのであった。
65日の遍路で、どれだけ杖が短くなったか!


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1番を打ったからには、出発地点まで戻ろう!
JR高徳線・池谷駅まで歩き、徳島駅行きの列車に乗った。

先頭車両の運転席の横で、ぼんやり進行方向を見ていたら、不意に現れた光景に、長い長い旅の終わりをようやく実感した。


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冬晴れや 「お帰りなさい」と 眉山言い