1991年台湾
236分
牯嶺街(クーリンチェ)と読む。読めるタイトルにしてほしい。
1961年6月に台湾で実際にあった、中学生男子による同級生女子殺傷事件がもとになっている。
1950年代末期から1960年にかけての台湾の世相や風俗、文化や自然、家族模様や若者心理などが、丁寧に描かれている大作である。その意味で、同じ台湾出身の侯孝賢(ホオ・シャオシェン)監督の『童年往事 時の流れ』(1985年)や『悲情城市』(1989年)を思い起こさせるが、エドワード・ヤン監督は侯孝賢と同じ1947年生まれなのであった。80年代後半に人気沸騰してヴェネツィアグランプリはじめ数々の賞に輝き国際的大監督になった侯孝賢の陰に隠れて、評価が遅れた感がある。
236分という長尺(劇場公開時は188分)は見始めるのにそれなりの覚悟がいるが、始まってしまえば、徹頭徹尾「映画的」空間の連続で、途中休憩をはさんだものの、久方ぶりに映画の快楽に浸りこんだ236分であった。これはどうしても大きなスクリーンで観るべき映画である。
エドワード・ヤン作品を観るのははじめてであったが、これ一作で十分映画史に残るし、これ一作しか作らなかったとしても人生十分というレベル、つまり一世一代の傑作である。
それ以上の言葉は必要ない。
ヤン監督は2007年に59歳で亡くなっている。
評価: ★★★★
★★★★★ もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★ 面白い! お見事! 一食抜いても
★★★ 読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★ いい退屈しのぎになった
★ 読み損、観て損、聴き損