復活の光



日時 : 2019年3月3日(日)19:30開演
会場 : 杉並公会堂・大ホール
曲目 : マーラー/交響曲第2番「復活」
指揮 : 金山 隆夫
独唱 : ソプラノ  浪川 佳代 、 アルト はやかわ 紀子
合唱 : 合唱団ACE

 日曜の午後7時半という開演時刻にも関わらず、場内は8割がた埋まっていた。
 さすがマーラー、さすが「復活」。

 カラー・フィルハーモニック・オーケストラは、2014年8月より活動スタートしたアマオケで、後期ロマン派の楽曲を中心に演奏している。初めて聴いたが、息がピッタリ合っていて、安定度が非常に高い。
 「こんなにうまいアマオケがいたのか!」と驚いた。
 金山隆夫の指揮は2度目だが、別オケで聴いた前回は残念ながら真価がわからなかった。今回は、文句なしの名演で、カーテンコールに何度も呼び戻された。
 調べてみたら、第1回演奏会からこのオケの指揮を担当している常任指揮者のような存在らしい。客演の時とまったくレベルが異なったのも道理であった。オケの面々が、金山の思うところをしっかり把握し、表現しているがゆえの完成度なのであった。

 とは言え、指揮者の個性が光る演奏と言うのとはまた違う。奇を衒った仕掛けも、ユニークな解釈も、挑戦的な表現もない。楽譜に忠実に、伝統に逆らわず、丁寧に音をさらった演奏という印象を持った。
 だが、ことこの「復活」に関しては、それが最適だと十分に教えてくれる演奏であった。
 つまり、指揮者の余計な解釈やイメージや下心が入っていないおかげで、作曲者マーラーの意図が素直に伝わってくるように感じられたのである。金山隆夫は、エゴをうまくコントロールできる人なのかもしれない。

 どの楽章も甲乙つけがたく素晴らしい出来で、徹頭徹尾、こちらのチャクラは揉まれっぱなしだった。最終楽章のコーラス入りからは荘厳かつ神秘的な世界を現出し、胸のチャクラが何かを叫んでいるようで、無性に泣けてしようがなかった。
 合唱団ACEは2018年秋に結成された合唱団とのことだが、この質の高さはなんだろう?
 たおやかな澄み切った歌声は教会の聖歌隊もかくやと思うほどであった。

 こんな素晴らしい演奏を無料で聴ける一夜が与えられたことに対して Something Great に感謝した。




評価: ★★★★

★★★★★ もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
     読み損、観て損、聴き損