1956年東宝
90分
驟雨(しゅうう)とは「にわか雨」の意。
佐野周二と原節子という美男美女スターが、倦怠期のサラリーマン夫婦を演じる。
庶民夫婦のありふれた日常が描かれ、取り立てて言うような大事件も起こらず(せいぜい雑踏で財布を盗まれたくらい)、会話も平々凡々である。現代ならこの脚本が映画化されることはまずないだろう。客も呼べまい。
が、面白いのである。
全編ユーモアが漂っており、何気ない会話の中にこそ人の感情が見え隠れし、人間関係の綾が浮き彫りにされることがよく分かる。そこに笑いもサスペンスも生まれれば、対立も生まれる。男女の機微の違いを突く水木洋子の脚本は見事である。
文芸坐の予告編ではアメリカの暴力映画ばかりやっていた。武器による破壊音と爆発音の洪水。スパークする光と目まぐるしく切り替わるショット。
うんざりした。
晩年の小津安二郎が、「映画はドラマだ、アクシデントではない」と言ったエピソードを思い出した。
うんざりした。
晩年の小津安二郎が、「映画はドラマだ、アクシデントではない」と言ったエピソードを思い出した。
評価: ★★★
★★★★★ もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★ 面白い! お見事! 一食抜いても
★★★ 読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★ いい退屈しのぎになった
★ 読み損、観て損、聴き損