1956年日活
89分
原作 石原慎太郎
製作 水の江滝子
出演者
南田洋子、長門裕之、石原裕次郎

 63年前の映画である。
 当時の若者の享楽的な風俗を描いたこの映画および石原慎太郎の原作は、倫理に欠けると社会問題になった。事実、この作品は映画倫理委員会(映倫)が作られるきっかけとなったそうな。
 まさに隔世の感がある。

 今見ると、物質的価値と虚栄でしかものを見れなくなった、戦後の「豊か」な若者の姿を描いた非・恋愛ドラマと映る。原作とは微妙に異なり、思ったより無軌道じゃなかったし、思ったより骨のある文学の香りがした。18世紀フランス貴族社会の道徳的退廃を描いたラクロの『危険な関係』に近いものを感じた。

 後年おしどり夫婦で有名になった長門裕之と南田洋子が主役をはっている。
 若い頃の南田洋子は初めて見たが、きれいである。
 長門裕之は演技は悪くない。が、いまいち華に欠ける。端役で出ている岡田真澄や石原裕次郎の驚くべき存在感に食われがちである。とくに、石原裕次郎の光っていることといったら・・・。

 期待していた「障子破り」は映画にはなかった。

障子



評価: ★★

★★★★★
 もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
     読み損、観て損、聴き損