2017年東京創元社
第27回鮎川哲也賞受賞作とある。
鮎川哲也は『黒いトランク』を大昔に読んだ気がする。
が、内容はまったく覚えていない。
我が国の本格推理小説作家の大御所の一人である。
鮎川哲也は『黒いトランク』を大昔に読んだ気がする。
が、内容はまったく覚えていない。
我が国の本格推理小説作家の大御所の一人である。
当然、この小説も本格推理小説として読み始めたし、湖畔の別荘で休暇を過ごす大学生とOBたちという「いかにも」な設定なので、第1の殺人(おそらく密室か?)が始まり幕が切って落とされるのを楽しみに読んでいた。
が、いきなり奇想天外な方向に物語が捻じ曲げられていき、スプラッタ・パニックホラーに突進してしまう。
この展開には唖然とした。
しかしながら、この小説の仕掛け(設定)は、吹雪の山荘とか、嵐で交通が遮断された山奥の屋敷とか、南海の孤島とか、宇宙船内とか、名探偵が思いのままに調査し尋問し推理をめぐらすことのできる、本格推理小説の舞台としてふさわしい、いわゆる「クローズドサークル」の驚くべき変種にして奇策と見ることができる。
そのうえで、閉ざされた内部で起こる連続殺人と、外部で猛威を振るいつつ内部に侵入しようと迫りくるおぞましい殺戮劇とがウマい具合に連動し、サスペンスとミステリーを盛り立てていく。
ユニークさ、面白さ、伏線回収の巧みさ、アクロバティックな語り口は、鮎川賞も当然と十分納得できよう。
それにしても、ここまで奇抜を極めると、犯人が誰とか、トリックがどうのとか、動機は何とか、もはや関係ない感もある。本格推理はそもそも絵空事の世界だと思うけれど、絵空事もここまで来れば、かえってすがすがしい。
思いついたもん勝ち、やったもん勝ちの独創性。
読者を驚かす意味では、これもトリックと言っていいのか。
評価:★★★
★★★★★ もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★ 面白い! お見事! 一食抜いても
★★★ 読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★ いい退屈しのぎになった
★ 読み損、観て損、聴き損
が、いきなり奇想天外な方向に物語が捻じ曲げられていき、スプラッタ・パニックホラーに突進してしまう。
この展開には唖然とした。
しかしながら、この小説の仕掛け(設定)は、吹雪の山荘とか、嵐で交通が遮断された山奥の屋敷とか、南海の孤島とか、宇宙船内とか、名探偵が思いのままに調査し尋問し推理をめぐらすことのできる、本格推理小説の舞台としてふさわしい、いわゆる「クローズドサークル」の驚くべき変種にして奇策と見ることができる。
クローズドサークルとは、何らかの事情で外界との往来が断たれた状況、あるいはそうした状況下でおこる事件を扱った作品(ウィキペディア『クローズドサークル』より抜粋)
そのうえで、閉ざされた内部で起こる連続殺人と、外部で猛威を振るいつつ内部に侵入しようと迫りくるおぞましい殺戮劇とがウマい具合に連動し、サスペンスとミステリーを盛り立てていく。
ユニークさ、面白さ、伏線回収の巧みさ、アクロバティックな語り口は、鮎川賞も当然と十分納得できよう。
それにしても、ここまで奇抜を極めると、犯人が誰とか、トリックがどうのとか、動機は何とか、もはや関係ない感もある。本格推理はそもそも絵空事の世界だと思うけれど、絵空事もここまで来れば、かえってすがすがしい。
思いついたもん勝ち、やったもん勝ちの独創性。
読者を驚かす意味では、これもトリックと言っていいのか。
評価:★★★
★★★★★ もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★ 面白い! お見事! 一食抜いても
★★★ 読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★ いい退屈しのぎになった
★ 読み損、観て損、聴き損