1967年大映
99分

脚本 新藤兼人
原作 有吉佐和子

 世界初の全身麻酔による外科手術を成功させた江戸時代の医師・華岡青洲(1760-1835)。
 その母と妻、すなわち姑と嫁の愛憎と壮絶なたたかいを描いた作品である。
 有吉の小説は読んでいない。

 青洲を市川雷蔵、母於継(おつぎ)を高峰秀子、妻加恵を若尾文子といった錚々たる大スターたちが演じている。三人とも甲乙つけがたい素晴らしい演技だが、役の上では於継のアクの強いキャラが目立つので、そこに芸歴三十数年の貫禄を加えた高峰秀子が一番印象に残る。高峰秀子は、どんな役でも演じられるカメレオンのような女優である。

 原作が『悪女について』の有吉なだけに、このドラマを「男の野心と栄誉のために犠牲となった二人の女の悲劇」といったふうにフェミニズム的に読むこともできるのだろうが、ここはやはり、時代を超えて受け継がれる姑と嫁の壮絶バトル、高峰と若尾の意地をかけた女優バトルとして観るのが面白い。であればこそ、この作品は何度も映画化、テレビドラマ化、舞台化される人気作品となっているのだろう。

 舞台では文学座の杉村春子による姑役が多い。
 嫁役を、初代水谷八重子、水谷良重、小川真由美、池内淳子、太地喜和子、坂東玉三郎といった、これまた錚々たるメンバーが演じている。観られなかったのが残念だ。
 特に、於継はたいへんな美貌の人として描かれているので、そこを杉村がどう化けたかが見たかった。美内すずえ『ガラスの仮面』の作中劇『二人の王女』に登場する美貌のアルディス姫を、平凡な顔立ちの少女・北島マヤが見事に演じきったような具合だったであろうか。
 
 杉村春子を筆頭に、樹木希林、太地喜和子、市原悦子、泉ピン子、田中裕子、小林聡美(三谷幸喜元夫人)、昨今では安藤サクラや渡辺直美、こうした決して「美人」とは言い難い実力派女優たちの主役の座をかけた奮闘ぶりを見るのも、映画やドラマを観る楽しみの一つである。



評価:★★★

★★★★★ 
もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
★     読み損、観て損、聴き損