2019年
脚本 ミキ・デザキ
製作 ミキ・デザキ、ハタ・モモコ
ナレーション ミキ・デザキ
2時間2分

 4月20日単館上映スタートし、またたく間に反響を巻き起こし、上映期間延長、全国各地に上映館拡大、一部出演者が上映差し止めと損害賠償をもとめ提訴。
――と令和最初の話題沸騰のドキュメンタリー。
 スタート館である渋谷イメージフォーラムで観た。平日の昼間にもかかわらず、8割がた埋まっていた。

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 監督のミキ・デザキ(出崎幹根)はフロリダ出身の日系アメリカ人。医者を志したり、僧侶になるためタイで修行したり、となかなかユニークな経歴の持ち主。
 杉田水脈、藤岡信勝、ケント・ギルバート、櫻井よしこ、加瀬英明など、並み居る保守論客にインタビューを取り付け、こうやって当人には思いもよらない形で料理してしまうセンスと行動力と勇気に讃嘆を惜しまない。

 テーマの中心は従軍慰安婦問題である。
 「軍による強制連行はなかった」とする保守派と、「いや、あった。問題は解決していない」とする反・保守派。乱暴に言えば、「右v.s.左」の論戦模様が、過去の様々な映像資料(その中には当事者女性の証言あり)をはさみながら、主としてインタビュー形式で構成され、実に器用に編集されている。この問題をはじめて知った人でも思わず見入ってしまうようなスリリングでスピーディな演出(語り口)は、これが監督デビュー作とは思えない。

 あえて内容には踏み込まない。
 ただ、震えるほどの怖さを感じた。
 従軍慰安婦問題の背後に潜んでいる権力者の意志と、それが今やこの国を覆いつくさんとしている現状に、あらためて恐怖した。
 令和を生きる日本人なら是が非でも観ておきたい映画である。
 砂に頭を突っ込んでいてはいけない。
 
 最後に一点。
 こうやって「右の人」や「左の人」のインタビュー映像が次々と映し出されるのを見ていると、右と左とでは顔が違うということに気が付く。顔つきというか、人相というか。
 どっちが良いとか悪いとか言うつもりはないけれど、総じて「右の人」は同じような顔つきをしている。櫻井よしこのような美人でさえ、ケント・ギルバートのような外国人でさえ。
 なんでだろう?



評価:★★★★★

★★★★★ 
もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
     読み損、観て損、聴き損