1964年大映
81分

 雷サマ狂四郎の4作目。
 狂四郎十八番の円月殺法シーンでストロボ撮影が取り入れられて、劇画感が増している。
 また、本作はエロチシズムと怪奇色もたっぷり味わえて、傑作B級メイカーたる大映の本領が存分発揮されている。少女漫画誌時代の楳図かずおを思わせる。
 
  今回は狂四郎の秘められた出自が明らかにされる。
 これがまたエグイ。
 狂四郎の父親は外国から布教に来た神父(バテレン)だったが、幕府に棄教を迫られ苦しんだ挙句、なんと黒ミサに走るのである。
 こりゃまた極端な!
 信者であった狂四郎の母親を全裸にして祭壇に寝かせ、夜ごと危険で怪しげな儀式を行っていたようだ。キリスト教と真言立川流をごっちゃにしたような回想シーンである。
 狂四郎のバテレン・トラウマもむべなるかな。
 
 本作には狂四郎のラスボス的敵役として少林寺拳法の達人が登場する。
 どう見ても勝新太郎ではないか!?
 実際、勝新と雷蔵は大映の二枚看板として「カツライス」と称される人気・実力同格のライバル的存在であった。勝新の友情出演か?と思ったが、クレジットに名前がないのが解せない。
 DVDの特典映像についていた出演者プロフィールをのぞいて、合点がいった。
 少林寺拳法の達人役は城健三朗という名の役者である。これ実は若山富三郎の大映時代の芸名だったのである。
 若山富三郎はもちろん勝新太郎の兄である。似ていて当たり前だ。
 当時は、雷蔵や弟・新太郎の陰に隠れて役者としては不遇の時代だったらしいが、どうしてどうして、いぶし銀という言葉がぴったりくる存在感である。(ソルティ的には、若山富三郎と言えば『火の鳥』の猿田彦に尽きる)


評価:★★★

★★★★★ 
もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
★     読み損、観て損、聴き損