2017年小学館
図書館で見つけた拾い物の快作マンガ。
戦後昭和史に足跡を残した23人のスター漫画家たちの子供にインタビューし、親の好きな食べ物を語らせつつ、実の子供から見た親の姿や知られざる親子関係を描くという趣向。しかも、毎回その漫画家のタッチを模倣するという楽しさ。
たとえば、手塚治虫の場合なら、『ブラックジャック』のピノコのモデルとなった愛娘手塚るみ子にインタビューし、チョコレートが好きだった治虫先生の思い出を聞きながらチョコレート入りのカレーライスを食べる。その回の絵のタッチは手塚治虫風である。
もともと、自身マンガ家である田中圭一が、ぐるなびの人気サイト「みんなのごはん」で月一回連載していたものに加筆・訂正し、単行本化したもの。23名の個性豊かな様々な分野の漫画家のタッチを見事に模倣する田中の画力、23組の様々な親子関係の綾をわずか6ページで浮き上がらせる構成力は素晴らしい。間違いなく、田中圭一の代表作となろう。
23名の漫画家の名前と代表作をあげる。
ちばてつや 『あしたのジョー』
手塚治虫 『ブラックジャック』
赤塚不二夫 『天才バカボン』
山本直樹 『Blue』
西原理恵子 『ぼくんち』
ジョージ秋山 『浮浪雲』
江口寿史 『ストップ‼ ひばりくん』
吉沢やすみ 『ど根性ガエル』
池上遼一 『男組』
いがらしゆみこ 『キャンディ💛キャンディ』
魔夜峰央 『パタリロ』
ゆでたまご 『筋肉マン』
中島徳博 『アストロ球団』
上村一夫 『同棲時代』
かわぐちかいじ 『沈黙の艦隊』
矢口高雄 『釣りキチ三平』
諸星大二郎 『妖怪ハンター』
石坂啓 『キスより簡単』
平松伸二 『ドーベルマン刑事』
相原コージ 『コージ苑』
うえやまとち 『クッキングパパ』
畑中純 『まんだら屋の良太』
永野のりこ 『ちいさなのんちゃん』
錚々たるメンバーだ。
この中でソルティが作品を読んだことがないのは、矢口高雄(釣りに興味なし)、諸星大二郎(画風を好まず)、平松伸二(バイオレンスは読まず)、永野のりこ(知らなかった)の4人だけである。
よくもまあこれだけの巨匠の子供たちからインタビューOKが取れたなあと思うと同時に、ソルティも昭和漫画にずっぷり浸かった一人なのだなあ~と再認識した。
よくもまあこれだけの巨匠の子供たちからインタビューOKが取れたなあと思うと同時に、ソルティも昭和漫画にずっぷり浸かった一人なのだなあ~と再認識した。
インタビューに応じるくらいだから、登場する漫画家親子の関係はどれも良好で、ほのぼのしたり、うらやましかったり、涙腺を弱めたりするエピソードが多い。特に、いがらしゆみこの息子が「男の娘」で、インタビューにも堂々と女装で現れて、それを母親が誇りに思っているというエピソードには、驚きを超えて感動した。アルバートさんが丘の上の王子様だったことを知ったとき以上の感動! その昔、キャンディという源氏名の女装のおじさんがいたが、本家はこっちだろう。
ほかにも、かわぐちかいじが実は一卵性双生児だったとか、矢口高雄が30歳まで秋田で銀行員やっていたとか、山本直樹が森山塔だった(ソルティは森山作品のほうをむしろ読んでいる)とか、ゆでたまご(作画の中井義則)の息子がプロ格闘家であるとか、はじめて知る意外な事実も多々あり。
とても面白かった。
紹介されている漫画家行きつけの店の幾つかにはぜひ足を運んでみたいと思った。
ほかにも、かわぐちかいじが実は一卵性双生児だったとか、矢口高雄が30歳まで秋田で銀行員やっていたとか、山本直樹が森山塔だった(ソルティは森山作品のほうをむしろ読んでいる)とか、ゆでたまご(作画の中井義則)の息子がプロ格闘家であるとか、はじめて知る意外な事実も多々あり。
とても面白かった。
紹介されている漫画家行きつけの店の幾つかにはぜひ足を運んでみたいと思った。
評価:★★★★
★★★★ 面白い! お見事! 一食抜いても
★★★ 読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★ いい退屈しのぎになった
★ 読み損、観て損、聴き損