1996年集英社文庫(コミック版)
「少年ジャンプ」掲載の『暗黒神話』(1976年)と『徐福伝説』(1979年)を収録。
解説をゴダイゴ(ヒット曲『ガンダーラ』、『銀河鉄道999』ほか)のタケカワユキヒデが書いている。諸星の熱狂的ファンらしい。
これまで食わず嫌いで素通りしていた諸星大二郎に挑戦した。
見事、はまった。
この漫画が「少年ジャンプ」に掲載されていたということに驚く。「チャンピオン」ならまだ分かるのだが・・・。
「少年ジャンプ」のモットーと言われる「友情、努力、勝利」を彷彿させるような、描線のくっきりした明るい未来志向の絵柄では、全然ない。ネーム(セリフ)も多く、古代史や神話をテーマとした内容もけっこう難解である。出てくる怪物もおぞましく不健康だ。
70年代の少年たちはいまより大人だったのか、病んでいたのか・・・(自分の世代だが)。
ウィキ『諸星大二郎』によると、「主に古史古伝に題材をとり、異形の存在によって日常の価値観や世界観を転倒させるような作品」を多く描いている。正直、ソルティの嗜好どストライクなのだった。
表題の『暗黒神話』も、光瀬龍原作で萩尾望都によって漫画化されたSF『百億の昼と千億の夜』、および古代史や神話や民俗に題材を採った永久保貴一『カルラ舞う』を連想し、奇想天外な物語と読み手をぐいぐい引っ張るストリーテリングの妙、そして誰のマネでもない&誰もマネできない超個性的な絵柄に感嘆した。
とりわけ、現代少年の極地上的な古代遺跡を巡る冒険が、文字通り宇宙的な、しかも仏教的な話に飛躍するよもやの結末に驚愕した。