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日時  2019年8月18日(日)15:00~
会場  ティアラこうとう大ホール(東京都江東区)
主催  公益財団法人 江東区文化コミュニティ財団 ティアラこうとう

曲目  ヴェルディ:『レクイエム』
指揮  飯守泰次郎
管弦楽 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
合唱  ティアラこうとう真夏のレクエム合唱団
独唱  
    ソプラノ:横山恵子
    メゾ・ソプラノ:金子美香
    テノール:望月哲也
    バリトン:大沼徹


 ヴェルディの『レクイエム』ははじめて聴く。もっとも、その一部分――有名な「ディーエス・イレ(怒りの日)」の冒頭――は、映画やテレビなどで頻繁に耳にしていたが。
 むろん、ヴェルディのオペラ以外の曲を聴くのもはじめてである。 

 レクイエム(鎮魂歌)はミサ曲、つまりキリスト教の典礼音楽なので、クリスチャンでないソルティは積極的に聴こうという意欲をこれまで持たなかった。
 今回、たまたま知人からチケットをもらったので、「これも縁」と出かけることになった。そう、3日前に長崎の原爆被害を描いた『この子を残して』を記事に上げたばかりであった。 


フルトヴェングラー 001
ティアラこうとう


 月並みな感想であるが、「やっぱりヴェルディはオペラ作家だなあ~」と思った。
 彼が作ったオペラの名曲の数々——『椿姫』、『イル・トロヴァトーレ』、『アイーダ』、『オテロ』、『仮面舞踏会』ほか——に比べて見劣り、ならぬ聞き劣りすると言いたいわけではない。この『レクイエム』もまた、「しっかりオペラだ!」と言いたいのである。

 つまり、典礼音楽にしてはあまりにドラマティックで、華麗で、面白かった。タイトルを聴かずに耳にしたら、「ノアの箱舟」や「トロイ戦争」あたりを題材にした叙事詩オペラと言われても違和感ない。これがもしラテン語でなくイタリア語で歌われたら、もうイタオペそのものだろう。
 聴く前に持っていた「途中で眠ってしまうかもしれない」という懸念は、まったくの杞憂であった。それくらい迫力満点の、ジェットコースターに乗っているかのようなめくるめく体験であった。

 オケも合唱も言うことない出来栄えであったが、とくに独唱バリトンの大沼徹の声が素晴らしく、聞き惚れた。長身で若々しく清潔感あるルックスも良かった。次は生のオペラで聴いてみたい、見てみたい人である。『トロヴァトーレ』のルーナ伯爵あたりとか。
 
 「死者の安息を願う」というレクイエム本来の役割からすれば、この曲はちと逆ベクトルな感がある。
 現世的で、血の気が多くて、感情に満ち溢れ、気分を昂揚させる。

 That’s Verdi !!

 傑作には間違いない。



評価:★★★★

★★★★★
 もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
     読み損、観て損、聴き損