1948年松竹
67分・白黒
脚本 木下惠介
音楽 木下忠司

 盗みを重ねるやくざな男との泥沼の関係をどうにも絶つことのできない優柔不断な踊り子が、最後の最後に男の罪を告発し、関係を断ち切るまでの苦闘を描く。
 全編オールロケ、主役の女と男とが口争いしながら移動するシーンばかりで構成される1時間強。単純な設定と簡単な筋書きの中にサスペンスあふれるドラマを創造する木下監督の才気がほとばしる。
 
 性悪のクズ男を演じるのは小沢栄太郎、優しさと裏腹の女の弱さを演じるのは水戸光子。名優二人ががっぷり四つに組んで目が離せない。
 ラストシーンで、坂の多い熱海の町を逃げ回る女、びっこを引きながら追いかける男。緊迫感高まるクライマックスに、熱海の旅館街の迫力ある火災シーンをかぶせる演出が心憎い。
 木下監督って、アクションも上手い。
 ほんとうに天才だ。
 
 
評価:★★★★

★★★★★
 もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
     読み損、観て損、聴き損