2017年宝島社発行


 2015年「このミステリーがすごい!」大賞の“隠し玉”として評価を得て、昨秋、北川景子主演で映画化、続編も予定されている話題作。

 内容がまんまわかりやすいタイトルと、「スマホを落とす」という誰でもやりうる日常のポカが恐ろしい事態に発展していくサスペンスの卑近性が、ヒットの要因だろう。
 IT 社会や SNS の世界に潜むさまざまな危険を描き切って、まさに他人事でない、いまそこにある陥穽を知らしめ、背筋が寒くなる。

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 連続女性殺人犯であるハッカー(正確にはクラッカーというらしい)が、たまたま拾った一台のスマホから、いかにして落とし主の暗証番号を解読し、被害者やその「友達」の個人情報を奪い、SNS上で知人になりすまし、フェイスブックを乗っ取り、人間関係を操作・破壊し、暴かれたくないプライヴァシーを人質に好き放題していくか、といった手口を描いているところが、一番の読みどころ。
 読む者は、SNS は諸刃の剣だな、スマホに大切な情報を入れておくのは危険だな、ネット上でプライヴァシーを開示するのは慎重にしないとな・・・と否応なく思うであろう。
 それから、どんなに信用し愛している相手であっても、ネットでばらまかれることを覚悟しない限り、決して恥ずかしい写真を取らせてはいけないと。

 推理小説としては凡作である。


 SNS も LINE もやってなくて、ネット上でクレジットカードを使うのさえ好まないソルティにしてみれば、「ほんとにメンドクサイ時代になったなあ~」と思うばかり。
 でも、今回の千葉県の台風被害による大停電を見るとつくづく思うが、電気がないと何もできない暮らしを作ってしまうこと――それが一番危険な気がする。



評価★★

★★★★★ もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
     読み損、観て損、聴き損