2016年イタリア
96分

 イタリアで権威ある賞を得ているシチュエーションコメディ。
 とくに脚本の評価が高い。
 原題 Perfetti sconosciuti は「まったく知らないことだらけ」といったところか。
 たぶん、この映画の重要な背景となる「皆既月食」に掛けているのだろう。
 
 幼馴染4人の男とそれぞれのパートナーが、皆既月食を観ながらディナーを共にする楽しい集い。3人の妻は同伴したが、バツイチで独身のペッペの連れは病欠した。
 7人は、食卓での会話のはずみから、あるゲームをすることになった。
 それぞれのスマホをテーブルの上に置き、食事中にかかってきた電話や送られてきたメールを他のメンバーにも開示しなければならない、というゲーム。
 それぞれのおとなの事情(=知られたくない秘密)が暴き出され、夫婦関係や友情にヒビが入っていく。

 一室に集まった大人たちが各々のプライベートをさらけ出すような酔狂なゲームをする――という趣向は、ウィリアム・フリードキンの撮ったゲイ映画『真夜中のパーティー』(1970)に近い。
 それのノンケ夫婦版かな?と思って観ていたら、最後に見事、LGBT 映画に昇格(笑)した。

 くだんのゲームによって、夫の浮気や妻の不倫がばれたり、それぞれの家庭が抱える問題が明るみになったり、各人の劣等感や本音が透けて見えたり・・・と、ある意味「想定内」の事件が巻き起こって、都度、食卓に緊張や疑いや喧嘩や決まり悪さを生み出していく。
 ストーリーを面白くも深くもしている秀逸なアイデアは、二人の男がある理由からお互いのスマホを交換したところにある。(同じ機種だったのだ)
 このアイデアが、この映画を単なる「誰にでも秘密がある」的なブラックコメディで終わらせず、『真夜中のパーティー』ばりの深い人間ドラマに格上げした。
 鑑賞後のカタルシスは月並みでない。(月食だけに)

 最初から最後まで、舞台はほぼ一室、登場人物はほぼ7人。
 CGも派手なアクションもなし。
 この映画はぜひ舞台化してほしい。

月食


評価:★★★★

★★★★★ 
もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
★     読み損、観て損、聴き損