関東に住むこと45年、山登りを趣味として15年余になるというのに、こんな面白い山が身近にあったとは知らなかった。

標高139メートルは山というより丘に近いが、清らなる森の大気、広々と気持ちいい山頂、360度の見事な眺望、奇岩・絶壁のそそり立つ珍景、古刹と摩崖仏が語る信仰の歴史、枝先を走るムササビ・・・と、一度は訪れるに足る楽しい山である。

鷹取山は、神奈川県逗子市と横須賀市の境に位置する。

● 日時 2019年10月28日(月)
● 天候 はれ
● 行程
13:00 京浜急行神武寺駅
       歩行開始
13:35 神武寺
14:20 鷹取山展望台
       昼食休憩
14:45 出発
15:00 摩崖仏
15:40 京浜急行追浜駅
       歩行終了
● 所要時間 2時間40分(歩行2時間10分+休憩30分)
● 最大標高差 131m

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京浜急行神武寺駅より歩行開始

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ハイキングコース入口

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逗子中学校の前を通過し・・・



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特別養護老人ホーム「せせらぎ」の裏手から


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山道に入る


鷹取山は凝灰岩の産地で、明治から昭和にかけて採石場として栄えた。
凝灰岩は柔らかで加工しやすいため、家屋の基礎や塀、護岸などの建築土木用材として愛用された。
良くも悪くも、その歴史が鷹取山の山頂付近の奇抜な景観を作ったのである。

広葉樹に囲まれた沢沿いの気持ちのよい道を15分も上ると、神武寺に到着する。


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神武寺鐘楼


医王山神武寺は、724年聖武天皇の命を受けた行基が、この地に十一面観音と釈迦・薬師如来を祀ったことに始まる。
鎌倉時代には、源頼朝をはじめ幕府の手厚い保護を受けたらしい。
お寺というより神社のような雰囲気のある境内である。

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薬師堂
本尊は秘仏となっている

お堂の左手の階段を上りきると尾根道に出る。
ごつごつした岩の道をいくつかのピークをたどりながら進むと、垂直に切り立った岩壁が突如として現れる。
岩登りのグループの嬌声が響く。

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岩壁のてっぺんに展望台があり、そこが山頂となる。

山頂からはほぼ360度の素晴らしい景色が望める。
高度を考えると、かなりトクな気分。

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横浜方面

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追浜方面

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米軍横須賀基地方面
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逗子方面

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富士山方面
冬の晴れた日はよく見えるらしい


展望台でおにぎりを頬張っていると、地元の中学生たちが息をつきながら上がってきた。
体育の授業だろうか。
みな半袖・半ズボンである。
ソルティの中学時代の級友らとくらべると、概して賢そうな顔立ちをしている。

山頂から見下ろす山肌の一角に摩崖仏がのぞく。
あそこまで行くのか。

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山頂付近は採掘されたあとの岩が立ち並び、一種異様な景観をつくっている。
ここでUFOが目撃されても驚かない。
房総半島の鋸山に似ている。(先だっての台風19号で大きな被害を受けた地区である)

岩肌に穿たれた無数の穴は登山練習のハーケンが打ち込まれた跡である。
基本、岩登りは禁止されているのだが、たしかに登高意欲がそそられる斜面。


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15分ほど下って摩崖仏にお目見え。
横須賀在住の彫刻家藤島茂氏が、昭和40年ごろに制作した弥勒菩薩像である。


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無事下山し、追浜駅へ。
途中に鷹取温泉という名の銭湯があるのをガイドブックで知り、ひと風呂浴びようかと思っていたのだが、休業であった。
残念!

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京急の踏切を渡ってすぐに、北原のパンという老舗がある。
ここで、ウエハースとぶどう食パンを買った。


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追浜駅周辺は人や車の往来が盛んで、一見賑わいでいるようなのだが、アーケードを歩くとシャッターの閉まった店が目立つ。

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追浜駅
歩行終了

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駅前通り

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京急に乗って帰途につく


殺人的熱さの夏、台風や大雨の続いた秋、なかなか山登りの機会がなかった。
これからいよいよシーズンである。