2017年ハンガリー、ドイツ
128分
たまに空を飛ぶ夢を見る。
正確には「飛ぶ」というより「浮遊する」に近い。
自分で自分を操縦して好きなように飛べるわけではなく、地面から浮かんだあとは、タンポポの綿毛のように他力によって上下左右に運ばれるのだ。
夢の中で、自己コントロールして鳥のように好き勝手に飛び回りたいと意気込むのだが、そう意識したとたん、体が重くなり落下してしまう。
飛ぶことを意識しないで体の力を抜き、「なにものか」に身をあずけると、また体は浮かび上がる。
最近はそれが分かってきて、その夢が始まると「来たな」と思い、身をあずけるようにする。
空中浮遊の時間が長くなり、高度も高くなってきている。
どこに行くのか、自分?
飛ぶことを意識しないで体の力を抜き、「なにものか」に身をあずけると、また体は浮かび上がる。
最近はそれが分かってきて、その夢が始まると「来たな」と思い、身をあずけるようにする。
空中浮遊の時間が長くなり、高度も高くなってきている。
どこに行くのか、自分?
SFスピリチュアル社会派映画とでも評すべきこの映画は、まさにその夢の再現である。
主人公のシリア難民の少年は、決死の思いで国境を超える際、警察に撃たれたことをきっかけに、空中浮遊する力を手に入れる。
どうやらそれがタイトルである「ジュピターズ・ムーン」つまり「木星の月」の仕業らしいが、そのあたりは曖昧にぼかされている。
主人公のシリア難民の少年は、決死の思いで国境を超える際、警察に撃たれたことをきっかけに、空中浮遊する力を手に入れる。
どうやらそれがタイトルである「ジュピターズ・ムーン」つまり「木星の月」の仕業らしいが、そのあたりは曖昧にぼかされている。
重力を操り空中浮遊する少年と、彼を助けながらも金儲けに利用する男の逃避行を、移民やテロリズムといった社会問題を背景に描いている。
極東の島国にいるとつい「遠い話」に思えてしまうが、英国のEU離脱騒ぎに見るように、移民問題はヨーロッパ各国にとって深刻な政治経済的イシューなのだ。
空中浮遊する少年の姿は、国境を超越する力や希望といったことを象徴しているのかもしれない。
評価:★★★
★★★★★ もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★ 面白い! お見事! 一食抜いても
★★★ 読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★ いい退屈しのぎになった
★ 読み損、観て損、聴き損