1966年フランス
135分
ジャン=リュック・ゴダールやフランソワ・トリュフォーと並んでヌーヴェルヴァーグの旗手と言われたジャック・リヴェットであるが、日本ではあまり知られていない。
もっとも有名な作品は、第44回カンヌ国際映画祭で審査員グランプリを受賞したエマニュエル・ベアール主演『美しき諍い女』ではなかろうか。ヌーヴェルヴァーグをはるか彼方に見やる1991年の作品である。これがきっかけで、ジャック・リヴェット作品がようやく日本で公開され始めたというから驚きである。
ソルティは2007年発表の『ランジェ侯爵夫人』をDVDで観たのが初リヴェットであった。非常によく出来た大人の恋愛映画で、心理描写の鋭さとヨーロッパ映画ならではの風格に感心した。
今回やっとヌーヴェルヴァーグ全盛時の作品を観ることができた。
18世紀フランス。親の命令で強制的に修道女にされてしまった貧乏貴族の娘シュザンヌ(=アンナ・カリーナ)。
最初に入った修道院では、新任の院長とうまくいかず、シスターたちから壮絶ないじめを受け、狂ったようになって移転を許される。次の修道院では、レズビアンの院長から目を付けられ、貞操と背徳の危機にさらされる。告解司祭とともに修道院を脱走するが、世間知らずのシュザンヌは俗世に馴染めず、ついには道端で物乞いする羽目に。声をかけてきた女性に連れて行かれた先は高級娼館。それを知るや、シュザンヌは窓から身を投げる。
女の転落劇という点では溝口健二の『西鶴一代女』を連想した。もっとも、田中絹代が演じたヒロインのように、転落を受け入れてしたたかに生きていく強さは、シュザンヌにはなかった。
シュザンヌの悲劇は、「聖」に徹しきれず「俗」にも馴染めず、というところにあった。
シュザンヌの悲劇は、「聖」に徹しきれず「俗」にも馴染めず、というところにあった。
原作は18世紀フランスの百科全書派のドゥニ・ディドロの同名小説。修道院の腐敗を告発する目的で書いたらしい。ディドロは無神論者であった。
この映画は、発表時にカトリック教会から冒涜的と非難され、一時は上映禁止になったという。
この映画は、発表時にカトリック教会から冒涜的と非難され、一時は上映禁止になったという。
これからおいおいリヴェットを観ていきたい。
評価:★★★
★★★★★ もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★ 面白い! お見事! 一食抜いても
★★★ 読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★ いい退屈しのぎになった
★ 読み損、観て損、聴き損
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