手術が終わった。

 手術台の上で、ふっと気が遠くなって、気がついたら2時間半が経過していた。最初に感じた息苦しさは、人工呼吸器を外したのに自発呼吸がすぐには甦らなかったせいか? 生まれたばかりの赤ん坊みたいだった。

 病室に戻ってからも麻酔は完全に抜けず、重い疲れとぼっーとした感覚が続いた。
 麻酔が抜けるにしたがって左足の痛みが起こった。事故後あるいは最初の夜に感じたよりも強い痛みが。
 ナースコールして、鎮痛薬を滴下してもらったら、40分ほどして楽になった。
 ペインコントロール技術に乾杯🍻

 実を言えば、手術そのものよりも、尿バッグをつけるためにカテーテルをペニスに入れられるのが嫌だった。
 入れる時は麻酔中だから痛くないだろうが、抜く時が痛いんじゃないかと恐れていた。
 そもそもペニスに管を入れられるってのに、生理的恐怖がある。今のように良い抗生物質がない時代、淋病治療するのにペニスの先から歯ブラシを入れて尿道をこすったという話をその昔体操教師から聞いて、文字通り“縮み上がった”ソルティである。(この話、本当なのか、デマなのか?)

 しかるに、術後一番に気になった下半身には何ら違和感なかった。
 導尿しなかったのである。

「手術前に排尿あったし、ここ数日の様子見たら排尿回数少なかったので、導尿はしませんでした」とナース。

 やった!
 入院してから水分を意識的に抑えていたのが功を奏した。

サメ先生


 手術前の不安はまったくなかった。
 たかだか骨折の整形手術にすぎないってこともあるが、起床してから手術までの間、なかなか愉快なマンガを読んでいたからである。
 森本梢子の『高台家の人々』(集英社)。

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 他人の心が読めるテレパシー能力を持つ美形3兄妹弟と、妄想癖のある地味なOLとが繰り広げるラブコメである。
 森本梢子=『ごくせん』の作者と言えば、だいたいの感じはわかってもらえよう。
 このマンガのおかげで、手術まで気楽に過ごすことができた。

 マンガの神様、ありがとう <(_ _)>