日時 2020年1月5日(日)14:00~
会場 ウェスタ川越大ホール(埼玉県)
出演
 指揮:原田慶太楼
 ヴァイオリン:前橋汀子
 管弦楽:読売日本交響楽団
プログラム
 J.シュトラウスⅡ:喜歌劇「こうもり」序曲
 メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲
 J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ3番(アンコール)
 ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界から」

 池袋から東武東上線に乗って約30分で川越駅に着く。
 ここは蔵造りの街並みの残る城下町として有名、小江戸という別称を持つ。

 2015年3月に開館したウェスタ川越は、駅から歩いて5分だが、松葉枝のためタクシーを奮発した。
 およそ1700席のうち9割ほど埋まっていた。
 さすが、読響と “ヴァイオリン界のレジェンド” 前橋汀子である。

時の鐘
川越の観光名所の一つ「時の鐘」

 
 指揮の原田慶太楼は1985年東京生まれの若手。すらりとした長身と長い手足がカッコいい。プロフィールによると海外での活躍が目立つ。
 「オペラ指揮者としても実績が多い」という紹介文どおり、非常にメリハリあるドラマチックな音楽づくりが特徴と思った。ヴェルディの後期オペラ(『運命の力』とか『オテロ』とか)を聴いてみたい。
 
 読響の上手さは言うまでもない。「こうもり」序曲では、水の泡がはじけるようなクリアな輝きにスプライトを思った。
 前橋汀子の参入で、一気に高貴な香りとコクが加わり、高級シャンペンに格上げされた。
 ヴァイオリン協奏曲が進むにつれて、心地よい酔いが体中に染みわたり、ついにはネクターとなった。もちろん、不二家のピーチ味ではなく、原義の意味でのネクタル、すなわち「神の酒」である。
 演奏活動55周年の熟成は、さつまいもで有名な埼玉県の一地方都市のホールを、目をつぶれば、ウィーンのフォルクスオーパーに変容させてしまった!
 今日のメインはこの人だった。
 
 むろん、『新世界』はどう転んでも名曲。
 アンコールでは第二楽章(遠き山に日は落ちて)を繰り返してくれた。

 年末に『第九』を聴き、新年最初に『新世界』を聴くというのも、なかなか良いルーティンかもしれない。
 今年は、どんな新しい世界が待っているだろうか。
 『アナと雪の女王2』ではないが、In to the Unknown(未知の旅へ)踏み出そう!
 と掛け声はいいが、松葉杖じゃないか、われ・・・。

※この映画の英語主題歌のサビを最初に聞いたとき、「レズビアン・ラ~ブ♪」と聴こえたのはソルティだけではあるまい。前作のフェミニズムがさらに進化して、ついに「レズビアン讃歌か」とビックリした。