1967~71年潮出版社『希望ライフ』『希望の友』に連載
1969~72年希望コミックスにて単行本化

 『若き獅子たち 項羽と劉邦』に続く横山光輝の歴史漫画チャレンジ第2弾。
 外伝を収めた第8巻をのぞいた1~7巻を読了した。

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 今回はじめて、水滸伝が「水のほとりの物語」という意味だと、そしてその「ほとり」というのが梁山泊という中国にかつて実際に存在した場所であることを知った。
 梁山泊って、旅籠のような大きな宿泊所のことかと思っていた。
 (ソルティは中国には行ったことがない。)

梁山泊のあった場所(現在の山東省西部)は、黄河によって形成された海抜ゼロメートル以下の内陸低地であり、一帯は古くから黄河の氾濫が繰り返されることによって無数の水路と沼沢が生まれた。特に五代十国時代の944年の黄河の氾濫のとき堤防が決壊して河水が流れ込み、この地には大沼沢が生まれた。梁山泊の名があらわれるのは五代から北宋の頃で、近くに梁山という名の山があったことから梁山泊と呼ばれた。(ウィキペディア「梁山泊」)

 社会から心ならずもはみ出した豪傑、勇者、剣豪、策士、正義感、腕自慢、山賊などが、辺境にある天然の要塞たる梁山泊に集まり、次第に「ワンチーム」を形成し、騒乱の世を舞台に活躍していく。12世紀初頭の宋国であった史実をもとにしたフィクションである。

 ここから梁山泊という言葉が、「豪傑や野心家が集まる場所」(小学館『大辞泉』)という意味で使われるようになった。
 もっとも有名な使用例は、若き手塚治虫、藤子不二雄、赤塚不二夫、石ノ森章太郎らが住んでいたトキワ荘(東京都豊島区)が「マンガ家の梁山泊」と呼ばれていることだろう。横山光輝はトキワ荘の住人ではなかったけれど、手塚治虫の「鉄腕アトム」のアシスタントをしたこともあったそうである。

 登場人物が多く、みな難しい中国名なので、正直、途中から誰が誰やらわからなくなった。全身真っ黒で巨体の鉄牛だけは見間違いようがないが。
 岩波文庫だと全10冊に及ぶ原作を7巻の漫画に収めたのだから、無理もない。
 面白く読んだが、『項羽と劉邦』にくらべるとまとまりが悪い。


評価:★★

★★★★★
 もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
     読み損、観て損、聴き損