2013年イタリア
124分
英語

 『ニュー・シネマ・パラダイス』のジュゼッペ・トルナトーレ監督によるミステリー。

 『シャイン』『英国王のスピーチ』のジェフリー・ラッシュ、『クラウド・アトラス』のジム・スタージェス、『ブレードランナー 2049』のシルヴィア・フークス、そしてそして、ロバート・アルトマン『M★A★S★H マッシュ』、ベルナルド・ベルトルッチ『1900年』、フェデリコ・フェリーニ『カサノバ』などですでに名優列伝に名を刻み終えているドナルド・サザーランド、といった豪華な顔ぶれである。

 絵画鑑定士と謎の女がからむイタリアンミステリーという点で、また主人公の鑑定士が女の魅力に惑わされて罠に陥るという点で、以前観た『ヴェネツィア・コード』(ティム・ディスニー監督、2004年)に似ている。騙しの壮大さ(トリック)という点では本作のほうが上かもしれない。

 音楽はやはり『ニュー・シネマ・パラダイス』のエンニオ・モリコーネ。
 ほのぼのとしてユーモラスな『ニュー・パラ』のBGMとは違い、本作ではヴァイオリンによる抒情的でロマンティックなメロディラインが、ヴィスコンティ『ヴェニスに死す』を想起させる。つまり、マーラーの交響曲5番のアダージェットを。
 その相似が、主人公がはまった老いらくの恋の甘美さと、同時にその身の破滅を予感させる。

 作中の一登場人物のセリフ、「ストイックは一番の性的倒錯だ」というのがイタリア人らしくておかしかった。



評価:★★

★★★★★ もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
★     読み損、観て損、聴き損