2001年イギリス
137分

 英国郊外のカントリーハウス「ゴスフォード・パーク」で起こる殺人騒動を描いたミステリー。

マナーハウス
カントリー・ハウス


 名探偵による謎解きの楽しみを期待すると肩透かしを食らう。
 この映画の見どころは、別のところにある。

 一つは、1932年当時の英国貴族の暮らしぶりを覗く楽しさ。
 豪奢で優雅な邸宅や車や調度類、上流階級の人々の会話や衣装や娯楽や習慣、そして彼らに仕える執事やメイドや下僕や料理人など下層階級の仕事ぶりやゴシップや心模様。
 アルトマン監督は、映画を撮るにあたって当時実際にカントリーハウスで働いていた執事と料理人とメイドに取材し、彼らに役者たちのアドバイザーたることを依頼した。
 全編、本物らしさが横溢している。

 もう一つの楽しみは、イギリスが誇る名優たちの演技合戦である。
 ゴスフォード・パークの横暴な主人ウィリアムを演じるマイケル・ガンボン。映画ハリー・ポッターシリーズ第3~8作のダンブルドア校長である。
 執事ジェニングス役のアラン・ベイツ。謹厳実直な外面の裏に人間らしい弱さを宿した味のある演技が光る。
 現代最高の演技派女優の一人ヘレン・ミレン。有能な家政婦長の一面と、かつて捨てた息子を前に名乗りできない母親の苦悩を見事に演じる。
 そして、圧倒的な存在感で作品を英国貴族色に染め上げる重鎮は、マギー・スミス。この人ほどコスチュームプレイが似合う女優はいまい。この人ほど巧い喜劇女優はいまい。
 キャリアの最初に舞台役者として演技の基礎を徹底的に身に着けているところが、彼らの演技に奥行きをもたらしているのだろう。

 しいて欠点を上げるなら、登場人物が多く、人間関係が分かりづらい。
 誰と誰が姻戚関係にあるのか、誰と誰がデキているのか、誰が誰の従者なのか、一回観ただけではとても理解できない。
 しかし、ソルティがやったように、もう一回最初から通して観るだけの価値は十分ある。



評価:★★★

★★★★★ もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
     読み損、観て損、聴き損