手術の翌日からリハビリを再開した。
「まだ傷口もふさがってないのに・・・。まだ動かすと痛いのに・・・」
と思うところだが、仕方ない。
別に退院をせき立てられているわけではない。リハビリ介入は早ければ早いほど、原状回復につながる、後遺症を残さずに済むからである。
この2カ月、立つ時は右足1本で約60キロの体を支えていた。歩く時は松葉杖との3本で。左足は宙に浮いていた。
これを元に戻す。
左足に荷重をかけていく訓練が始まった。
といっても、いきなり全体重を支えることはできない。無理をすると、せっかくついた骨が分離してしまいかねない。
まずは2分の1すなわち30キロまで荷重する。それで約二週間訓練したら、次の二週間は3分の2すなわち40キロまで荷重する。一ヶ月後に左足だけで全体重を支られるようにする。
まだまだ松葉杖を手放せ、もとい足放せない。
リハビリ室の平行棒の間に入って、右足を低い台の上に、左足を体重計に載せる。
「じゃあ、左足に体重かけてください」
と、リハビリスタッフが言う。
「よし!」とばかりに左足を踏み込んだが、体重計の針は5キロ以上に振れない。
踏み込み方を忘れてしまったのだ。自分では思い切り踏み込んでいるつもりなのだが、力が全然入っていない。
スタッフの助けを借りて何度か繰り返すうちに、目盛りの値は10キロ、15キロと上がっていき、20分近くしたら、やっと30キロに届くようになった。
が、ちょっと力を抜くと、すぐ値は下がってゆく。意識的にかなり頑張らないと荷重できないのである。
人は立っているだけで、歩いているだけで、体重分の重さを両足で支えている。
ハイハイから立ち上がった幼児の時から、それに慣れてしまっているから、そのことを普段は自覚していない。
プールでしばらく遊泳したあと、プールサイドに上がる瞬間、体の重さを感じない人はいないだろう。だが、プールサイドを歩き出したとたん、もう忘れてしまう。両足が即座に普段の感覚を取り戻すゆえに。
人類は二足歩行したときに、赤ん坊がつかまり立ちしたときと同様、体重(重力)をプレゼントされたのである。
魔法の力で足をもらった人魚姫が、苦痛に喘ぎながら岩場で立ち上がる。イケメン王子に会うために!
そんなイメージを抱きながら、訓練に励んでいる。
「まだ傷口もふさがってないのに・・・。まだ動かすと痛いのに・・・」
と思うところだが、仕方ない。
別に退院をせき立てられているわけではない。リハビリ介入は早ければ早いほど、原状回復につながる、後遺症を残さずに済むからである。
この2カ月、立つ時は右足1本で約60キロの体を支えていた。歩く時は松葉杖との3本で。左足は宙に浮いていた。
これを元に戻す。
左足に荷重をかけていく訓練が始まった。
といっても、いきなり全体重を支えることはできない。無理をすると、せっかくついた骨が分離してしまいかねない。
まずは2分の1すなわち30キロまで荷重する。それで約二週間訓練したら、次の二週間は3分の2すなわち40キロまで荷重する。一ヶ月後に左足だけで全体重を支られるようにする。
まだまだ松葉杖を手放せ、もとい足放せない。
リハビリ室の平行棒の間に入って、右足を低い台の上に、左足を体重計に載せる。
「じゃあ、左足に体重かけてください」
と、リハビリスタッフが言う。
「よし!」とばかりに左足を踏み込んだが、体重計の針は5キロ以上に振れない。
踏み込み方を忘れてしまったのだ。自分では思い切り踏み込んでいるつもりなのだが、力が全然入っていない。
スタッフの助けを借りて何度か繰り返すうちに、目盛りの値は10キロ、15キロと上がっていき、20分近くしたら、やっと30キロに届くようになった。
が、ちょっと力を抜くと、すぐ値は下がってゆく。意識的にかなり頑張らないと荷重できないのである。
人は立っているだけで、歩いているだけで、体重分の重さを両足で支えている。
ハイハイから立ち上がった幼児の時から、それに慣れてしまっているから、そのことを普段は自覚していない。
プールでしばらく遊泳したあと、プールサイドに上がる瞬間、体の重さを感じない人はいないだろう。だが、プールサイドを歩き出したとたん、もう忘れてしまう。両足が即座に普段の感覚を取り戻すゆえに。
人類は二足歩行したときに、赤ん坊がつかまり立ちしたときと同様、体重(重力)をプレゼントされたのである。
魔法の力で足をもらった人魚姫が、苦痛に喘ぎながら岩場で立ち上がる。イケメン王子に会うために!
そんなイメージを抱きながら、訓練に励んでいる。