2008年講談社
2011年文庫化

 幼い頃に両親を惨殺された3人の兄妹の復讐ドラマ。成人して、真犯人らしき人物を見つけたまでは良かったが、こともあろうにその息子に末の妹が恋をしてしまう。
 復讐の行方は?
 恋の行方は?
 そして事件の真相は?
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 メロドラマチックな設定、スリリングで都会的なプロット、キャラクターの魅力、心理描写の巧さ、意外な結末、確かな伏線、と非の打ちどころない仕上がり。一気読みした。
 さすが東野圭吾だ。

 ミステリー部分と人間ドラマ部分が絶妙の配合と軽重とで組み合わされているのが、この作家のなによりの美点だと思う。
 つまり、トリック重視のあまりキャラクターや人間ドラマのリアリティが損なわれるという、実社会経験の乏しい本格ミステリー作家にありがちな陥穽に陥ることなく、また、キャラクターや人間ドラマが濃すぎて肝心のトリックや推理部分が軽視されるという直木賞狙いのミステリー作家にありがちな残念さにはまることもなく、うまいところでバランスを取っている。
 それが、東野ミステリーが大人の鑑賞に堪えるゆえんだろう。

 些末なことであるが、奇異に思った点。
 刑事たちが、事件当夜ビニール傘を購入した人物がいたかどうかを調べるために、現場近くのコンビニを訪ねるシーンで、当夜レジにいた店員は「よく覚えていない」と答える。刑事たちはその言葉を鵜呑みにし、それ以上の調査はしない。
 なぜ店内に据え付けられている防犯ビデオをチェックしないのだろう?
 一言、「防犯ビデオも念のため調べたが、該当者らしきは映っていなかった」とでも書けばすむものを。
 あるいは・・・・

 惨殺事件が起きたのは、ペルセウス座流星群の当たり年という設定だから、おそらく1991~92年であろう。
 このとき、コンビニには防犯ビデオが設置されていたであろうか?
 ソルティは1994年時点、某地方都市の繁華街のコンビニで夜勤をしていた。レジ回りを映す防犯カメラ(VHS録画式である)はすでにあった。都会の大手の系列店ならほとんど設置されていたと思う。
 それ以前は・・・・?

 公共場所での防犯カメラが一般化するようになったのは1995年からだと言う。
 きっかけとなったのは、かの有名なオウム真理教による地下鉄サリン事件である。
 それ以前だったら、郊外では設置していない店のほうが多かったかもしれない。
 東野はそのへんもちゃんと調べているのだろう。  



評価:★★★


★★★★★ もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
     読み損、観て損、聴き損