2017年中国、日本制作
129分

 夢枕獏の小説『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』の映画化。
 中国公開時のタイトル『妖猫傳(Legend of the Demon Cat)』に見るように、一種の化け猫ストーリーで、怪奇と謎とファンタジー(幻術)と悲恋を盛り込んだ歴史スぺクタルといった感じである。

 美しき王妃とは、唐の玄宗皇帝の寵愛を一身に受けた楊貴妃(719 ‐ 756)のこと。
 空海(774- 835)は密教の奥義を学ぶために渡った唐の都・長安で、友人の白楽天 (玄宗と楊貴妃の悲恋を描いた詩『長恨歌』で知られる) と有意義な日々を送っていた。
 が、ときの宮廷では、皇帝の不審死など黒猫が関わる奇怪な事件が続く。
 空海は、白楽天とともに事件の解明にあたることになる。
 そこには、50年前の安禄山の乱にともなう、楊貴妃の最期にまつわる悲しい真実があった。

 染谷将太が利発で清らかな若き空海を、なかなか魅力的に演じている。
 世界三大美人と(日本だけで)称される楊貴妃を演じるチャン・ロンロンは、まっことに美しい。フランス人の父親と台湾人の母親を持つハーフとのこと。ソルティは日本語吹き替え版で観たが、楊貴妃役は吉田羊が担当した。これがまた魅力的な声音と口調で、感心した。『クレオパトラ』でリズのアテレコをした小川真由美を思い出した。
 中国娯楽大作らしい、すべてにゴージャスなつくり、目くるめくような色彩とアクションの連続で、無難に楽しめる。


おすすめ度 : ★★

★★★★★ 
もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
★     読み損、観て損、聴き損


 それにつけても、こういったスペクタクル&ファンタジー映画の主役をはれるような器量を持つ本邦の僧侶と言えば、やはり空海日蓮くらいしか思いつかない。道鏡はまた違った路線(お色気?)だし、役小角はちょっと地味だし、天海だと腹黒い感じがする。
 密教という呪術を持ち、国内はおろか中国でも活躍し、各地で民を助けた伝説を残している空海は、日本最大のスピリチュアルヒーローと言えるかもしれない。


四国遍路2 114
空海の生まれた風景(香川県多度津町の佛母院近く)


四国遍路2 112

四国遍路2 113
御えな塚
空海の胞衣とへその緒が納められている