2019年
113分

 国家権力の闇と、それを暴き出そうとする女性新聞記者の姿を描く社会派ドラマ。
 脚本も演出も映像も役者の演技も水準以上。

 フィクションではあるが、加計学園問題やジャーナリストの伊藤詩織氏レイプ事件を思わせるエピソードが盛り込まれていて、現政権に対する批判色が強い。

 主演のシム・ウンギョンは韓国出身の女優。
 帰国子女という設定により、日本語のセリフ回しの拙さをカバーしている。
 表情や存在感は素晴らしく、この演技で日本アカデミー賞の最優秀主演女優賞はじめ、数々の女優賞を獲得したのも、もっともと頷ける。
 日本の女優でこの役を引き受ける人がいなかったのは残念。

 共演の松坂桃李は、内閣情報調査室で政権維持のための情報操作を任務とするエリート官僚を好演している。
 隠蔽される真実、捏造される情報、権力の犠牲となった上司、それに加担している自分・・・。
 守るべきは、職務と自身の経歴か、家族の生活か、それとも真実と正義か――。
 内部告発すべきか否か?
 
 何よりの救いは、このような映画が作られ、公開され、正当に評価される状況がまだ日本に存在しているということであろう。
 北朝鮮はもとより、中国やロシアでは絶対にできない。
 
 本作は、東京新聞記者・望月衣塑子の原案を脚色したものである。
 このような記者のいることも救いである。


ミネルバ
 


おすすめ度 : ★★★★

★★★★★ もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
     読み損、観て損、聴き損