1995年まんだらけ出版部より刊行
2019年改訂版発行

 無明庵 EO(エオ)は、知る人ぞ知る、本邦の精神世界のカリスマ導師である。
 著者略歴によると、1958年生まれ、14歳の時に悟りの一瞥を体験。以来、様々なスピリチュアル遍歴をたどる。1992年(34歳)に大悟見性。以後、講話や著述や瞑想指導などを行う。2017年2月入滅。

 ソルティは、15年くらい前に、EO の本を中野サンモールにある古書店「まんだらけ」で見つけて購入し、その“過激な”内容に衝撃を受けた。
 以来、自身のスピリチュアル遍歴において、時折、無性に EO が読みたくなっては、著書を集めてきた。
 5冊くらい読んだだろうか。
 だが、EO の最初の著書であり代表作とも言えるこの『廃墟のブッダたち』だけは、すでに廃刊となっていて、「まんだらけ」でも他の書店でも手に入らなかった。
 著者の入滅――本当か?(笑)――がきっかけとなったのか、2019年より EO シリーズの復刊が始まった。全部で14冊の予定らしい。
 やっと、念願の書を手にした。

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 EO が「知る人ぞ知る」なのは、彼の本の内容(実際の講話をもとにしたものが多い)が、まったくもって一般受けしない態のものだからである。
 ソルティが最初に接した時に受けた「過激」以外の印象をあげると、「暗い、絶望的、虚無的、不吉、禍々しい、歯に物を着せぬ、容赦ない、反逆的、人間の尊厳を奪う、反社会的、敗北主義」といったネガティヴなものばかりで、「こんな本に惹かれてつい買ってしまった自分も、相当病んでいるのかもしれない」と思った。(そのとおりだ)
 黒を基調とし、奇妙な幾何学図形を浮き彫りにした装丁もまた、その近寄りがたいイメージを助長した。

 にもかかわらず、その説かれる内容には一聴すべきものがあった。
 ラジニーシ(OSHO)やクリシュナムルティの本と同様の、覚者ならではの透徹した意識と知性、首尾一貫した論理、有無を言わさぬ気迫をそこに感じ取った。
 あるいはそこに、自分自身が、あるいは人類が、「認めたくない事実、不都合な真実」が赤裸々に説かれているような気がした。
 事実、EO は「伝統や形式にしがみつく禅そして導師を盲信的に信奉する瞑想センターとの絶え間ない摩擦や反感」を経験したという。
 無理もない。

 EO の過激な(突飛な?)言説の例を本書より挙げよう。
 人類の存在意義に関する一節。
 
 すなわち人類はその人類の上位存在にとっては、ただの食用生物である。
 あるいは宇宙という機械の生物燃料であり、誰かの食用の家畜であり、宇宙という畑の肥料であり、また、あるときには宇宙「という」(ソルティ注:「の」の誤植か)医療モルモットであり、あるいは宇宙が今後もただ無目的に生き延びるためだけの穀物である。
 これがまず基本的な宇宙と地球における人間たちの生存理由、つまり、あなたという存在の宇宙での位置についての明確な真実である。 
 それが、あなたにとって不愉快であろうが、なかろうかには一切関係なく・・・。
(本書104ページ)

 これをダグラス・アダムスのSF小説みたいなブラックジョークと取るか、ノストラダムス的な「トンデモ」と取るか、六道を輪廻転生し続ける愚かさを知らしめ「悟り⇒解脱」に聴き手(読者)を導くための方便ととるか。
 ともあれ、EO は徹底した「現世否定論者、存在否定論者」であり、そこが究極のネガティブ・シンキングとも、精神世界の極北とも、反社会的とも、みなされるゆえんでなのである。
 EO の先を行くのは、この世を悪魔の創造物とみなした異端カタリ派しかありえまい。

 だが、UFO 陰謀オタクが喜びそうな上記のような言説を除けば、EO の説いていることは、ブッダやラジニーシやクリシュナムルティら“本物の”覚者のそれとまったく変わりない、「エゴ(自我)の否定」、「思考の否定」、「条件付けされた生への気づき」といったあたりが核なのである。

 というわけで、「ステイホーム週間」の利得をもって、遊び心で下記の表「現世との距離から見たスピリチュアル思想」を作ってみた。
 世界的に知られる代表的なスピリチュアル思想について、現世との距離から――「現世肯定的 or 否定的」の視点から――序列化してみた。


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 上記のスピリチュアル思想の選択は、恣意的なものである。
 序列もまた、ソルティの狭量な知見による、独断かつ偏見でしかない。
 「なんでヒンズー教がないんだ!?」
 「グノーシス思想があって然るべきだろう!?」
 「なんで日蓮の名がないんだ!?」
 「神道が、空海が、なぜこの位置に来る!?」
 「ヒマラヤ聖者ヨグマタ圭子はどこに入るんだ!?」
 ・・・・などなど、種々の意見や異論はあるかと思うが、それは各自で好きなように考えてもらったらよいと思う。
 ちなみに、「解脱主義」の主たる特徴は、輪廻転生からの解脱を最終目的とすること、すなわち、天国や浄土をゴールとしないことである。ここに、読んだばかりのゲイリー・レナード著『神の使者』でその内容を知った「奇跡のコース」も入れさせてもらった。
 
 ブッダを敬愛するソルティは、表の右から4番目に位置する。(輪廻転生を信じているわけではないが・・・)
 こうやって整理してみると、20代、30代、40代と自分が年齢を重ねるにつれて、表の左から右へと次第に移行してきたのを了解する。(生き方指南、本覚思想、浄土主義にはハマらなかったが・・・)
  
 まあ、どうでもいい話。
 ほんのお慰み。
 



おすすめ度 : ★★★★

★★★★★
 もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
     読み損、観て損、聴き損